10月27日、重要無形文化財保持者（人間国宝）で歌舞伎俳優の中村芝翫が文化功労者に選出され、記者会見が歌舞伎座で行われました。

　「思ってもみなかったので、大変嬉しく思います。祖父・五代目歌右衛門、父・五代目福助、私の恩師である六代目菊五郎に対してご恩返しができたような思いです。私事ですが、父が早く死に、女手一つで育ててくれた母が、きっと泉下で喜んでくれているだろうと感じています。」

　これからの目標について尋ねられると、「私自身は、もっとどんどん動きたいのですが、やはり年齢というものがあります。これからは、正当な歌舞伎というものを伝承するお手伝いをしながら、歌舞伎をいつまでも続けていきたいと思っています。昔と違って今はスピードというものが求められておりますから、手を加えていく作品もあるのではと考えていますが、何より、いらして下さったご見物が楽しくご覧になれればと思っています。」

　11月歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」の『良弁杉由来 二月堂』では渚の方をつとめます。中村芝翫の円熟味を増す舞台が今から楽しみです。