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芝翫、橋之助、福之助、歌之助が語る、「松竹歌舞伎舞踊公演」

芝翫、橋之助、福之助、歌之助が語る、「松竹歌舞伎舞踊公演」

 

 6月30日(木)から全国で24公演行われる「松竹歌舞伎舞踊公演」に出演する中村芝翫、中村橋之助、中村福之助、中村歌之助が公演について語りました。

 令和元(2019)年8月、9月に行われた「松竹大歌舞伎」西コース以来、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、公演中止が相次いだ巡業公演。久々となる今回の巡業公演では「松竹歌舞伎舞踊公演」と題し、『操り三番叟』と『連獅子』の舞踊2題を上演します。芝翫は「久しぶりの巡業。待ち望んでくださっている皆様に、少しでも元気を与えて、熱い歌舞伎をご覧に入れたいと思っております」と、切り出します。

 

芝翫、橋之助、福之助、歌之助が語る、「松竹歌舞伎舞踊公演」

 

家族そろっての巡業公演

 平成28(2016)年10月より行われた襲名披露公演以来、親子四人そろっての共演となる今回の巡業公演。「2年前、ちょうど巡業に出るはずでしたが、(コロナ禍で)中止になってしまいました。僕自身この6年間、芝翫を襲名してどれほど成長したかはわからないですが、息子の肉体的、精神的成長、また芸の上での成長を見て、芝翫を襲名して以来の年月が思い出されるのではないかなと思っております」と、今回の巡業公演へ向けての心境を語ります。

 

 「公演で披露する『操り三番叟』は、五穀豊穣を願う演目ですが、今回は疫病退散ということで、この舞踊公演を通して流行り病が少しでも退散し、これを皮切りにもっと巡業ができるよう、親子そろって勤めさせていただきます」。

 

芝翫、橋之助、福之助、歌之助が語る、「松竹歌舞伎舞踊公演」

 

 橋之助は「父の戦力になるということが、僕の一番の目標でした。こうして、父が座頭の公演で、弟二人と三人で、戦力になれる第一歩の公演だと思うので、心して勤めてまいりたいと思います」と意欲を見せます。福之助も、「襲名披露の巡業以来、たくさんの先輩方のところで、さまざまなお役をさせていただいたので、どれだけ僕が成長しているのか、ぜひ期待して観に来ていただけたらうれしいです」と続けます。今回が巡業初参加となる歌之助は、「2年前、楽しみにしていた巡業が中止となり、いろいろな悔しい思いがあったなか、コロナ禍の2年間でできる限り学んできたことを、この巡業で皆様にお見せできればと思っております」と、抱負を述べます。

 

芝翫、橋之助、福之助、歌之助が語る、「松竹歌舞伎舞踊公演」

 

成長した姿をお客様に

 今回『操り三番叟』の三番叟と後見、『連獅子』の僧蓮念を、橋之助と福之助が交互出演で勤めます。「やってみたかったお役ですので、とても気合が入っております」と語る橋之助は、「この1、2年で福之助もさまざまお役をやってきて、今までは芸の上でのことも僕が言うばかりでしたが、お互いに話し合う機会も増えてきました。今回のダブルキャストを経て、ぶつかり合ったり、助け合ったりすると思いますので、お役以外の兄弟の絆という面でもとても楽しみにしています」と、切磋琢磨しながら巡業公演に臨む心意気を見せました。

 

 「『操り三番叟』は小さい頃から何度も見てきた舞踊」と話す福之助。昨年の御園座で『阿古屋』に出演した際に、「(岩永左衛門の)人形振りがなかなかうまくいかず、玉三郎のおじさまに、“あり得る動きをすると人形っぽく見えない。不自然な動きをするから人形に見える”というお話をしていただきました。そこが『操り三番叟』ともつながってくると思いますので、頑張ります」と、気を引き締めました。

 

芝翫、橋之助、福之助、歌之助が語る、「松竹歌舞伎舞踊公演」

 

二人で勤める思い出の『連獅子』

 平成28年の歌舞伎座11月の襲名演目、『祝勢揃壽連獅子』では四人連獅子を披露した芝翫親子ですが、今回は、芝翫と歌之助の二人で親獅子の精と仔獅子の精を勤めます。「今度は二人っきりでさせていただきますけれども、歌之助の成長を舞台の上で見られるというのも、楽しいことだと思います」と笑顔を見せる芝翫。「親獅子はどうしても受け身のような形になりがちですが、(親獅子と仔獅子の)動と動のぶつかり合いだと思っています。僕も56歳、まだまだ歌之助には負けてられないものですからね。そのような気持ちで歌之助に少しでも舞台の上で何かを感じさせられるように、また、僕も歌之助から何かを感じながら」二人で『連獅子』を勤めたいと、期待を口にします。

 

 「襲名で『連獅子』を披露した際には、兄・橋之助に引っ張ってもらいながら、しがみついていた部分もありました」と振り返った歌之助は、「今回はそこから独り立ちして、襲名のときとはまた違った『連獅子』をお見せできればと思います」と思いを新たにします。初めて一人で勤めることになる仔獅子を、「前半はかわいらしく、また後半は打って変わって荒々しくなる姿を最後の毛振りで表現できれば」と、真剣な表情で語ります。

 

 最後は全国のお客様に向けて、芝翫が「暑い盛りでございますけれど、この舞踊2題はお子様にご見物いただいても、大変お楽しみいただけるかと思います。入口での検温や消毒など、お客様にご負担をおかけする部分がございますが、皆様ご協力のうえで各劇場、ホール、会館で感染対策をしておりますので、安心して足を運んでいただきたいと思っています」と、メッセージを述べ、締めくくりました。

 「松竹歌舞伎舞踊公演」は6月30日(木)~7月31日(日)まで、全国で24公演開催。チケットの詳細は公演情報のお問い合わせ先でご確認ください。

2022/05/31