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時蔵、芝翫が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

時蔵、芝翫が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

時蔵、芝翫が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 6月3日(金)に開幕する博多座「六月博多座大歌舞伎」に出演する中村時蔵、中村芝翫が、公演に向けての思いを語りました。

新たな挑戦を博多座で

 博多座へは昨年に引き続いての出演となる時蔵。「感染対策を万全にして、一所懸命に千穐楽まで勤め、博多の皆様に喜んでいただければと思います」と、意気込みます。昼の部の『義経千本桜』「すし屋」で勤める弥助実は三位中将維盛について、「弥助は優男で、空いた鮓桶を持って入ってくるときも、重さにふらつくような素振りを見せます。それが弥左衛門と二人になると、維盛に戻ります。その変わり目、姿を変えずに使用人と公達のそれぞれの様子を見せるのが難しいところです 」と説明します。「この芝居の主役はやはり権太郎ですので、権太郎のモドリが一番の眼目。当時の生活の様子もご覧いただける、見ごたえのある芝居だと思います」と、述べました。

 

時蔵、芝翫が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 

 夜の部では『積恋雪関扉』の傾城墨染実は小町桜の精を、本興行で初めて勤めます。「以前杉の子会という勉強会で一度演じたことがありますが、新たに覚えなおさなければいけないと思っています」と、博多座での挑戦に笑顔を見せながら、「廓の仕方噺などから見顕しとなり、最後は立廻りの派手さや、豪華さもある。常磐津の流暢な音楽なども楽しんでいただければと思います」とアピール。久しぶりの共演となる芝翫についても、「気心が知れていますし、勉強熱心な方。(共演を)楽しみにしています」と語りました。

 

歌舞伎の魅力が詰まった『積恋雪関扉』

 一方、博多座へは3年ぶりの出演となる芝翫。「(博多座のお客様は)芝居に入り込んで、楽しんでくださる。大変熱い場所で、お客様の圧に心を動かされ、いつも以上にファイトが出ます」と、思いを馳せます。昼の部の「すし屋」では梶原平三景時を演じますが、「すべてを飲み込みながらもどこか癖のある人。物語を左右する大事な首実検を、心して勤めさせていただきたい」と語ります。「菊五郎のお兄さまのおそばで出していただき、息遣いなどを感じられることは、自分の糧になっていくと思います」と、噛みしめました。

 

時蔵、芝翫が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 

 夜の部の『積恋雪関扉』関守関兵衛実は大伴黒主は、以前より念願のお役だったと言います。「立役を目指すにあたり、『勧進帳』の武蔵坊弁慶とこの関兵衛は憧れでしたので、(今回の出演が決まり)飛び上がって万歳しました。時蔵のお兄さまと出させていただくことも大変ありがたいです」と、声を弾ませます。「すべてが見せ場で、歌舞伎の、歌、舞、伎、の言葉の意味が集約されているような作品だと思います。関兵衛も、立役の要素がたくさん詰まっているお役。おおらかさや粗削りな部分も大切に、神経質になりすぎないように」と、作品や役への情熱を胸に、気合十分で挑みます。

 開幕を前に、今回二人が挑む夜の部『積恋雪関扉』のスチール撮影が行われました。時蔵による傾城墨染、芝翫による関守関兵衛の、迫力ある姿が写し出され、二人がみせる『積恋雪関扉』の世界に、ますます期待が高まります。

 

 博多座「六月博多座大歌舞伎」は、6月3日(金)から23日(木)までの公演。チケットは、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。

2022/05/30