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歌之助、福之助が語る、歌舞伎座『新選組』

歌之助、福之助が語る、歌舞伎座『新選組』

 

 2022年8月5日(金)から始まる歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第一部『新選組』に出演の中村歌之助、中村福之助が、公演に向けての思いを語りました。

歌之助、福之助が語る、歌舞伎座『新選組』

 

 兄弟で挑む新作歌舞伎

 手塚治虫の作品で初めて、新作歌舞伎として上演される『新選組』。少年剣士・深草丘十郎を歌之助が、その親友の鎌切大作を福之助が、兄弟で演じることでも話題を呼んでいます。

 

 これが歌舞伎座での初主演となる歌之助は、「手塚治虫先生の作品は、展開や情緒的な部分が歌舞伎に通じるものがあると感じ、いつか上演したいと夢見ていました。この作品で初めての主演となったことにご縁を感じ、とてもうれしいです」と、目を輝かせます。「(中村)勘九郎の兄が、漫画を僕たち兄弟に紹介してくれました。まさかこんなに早いタイミングで僕たちがやることになるとは思っていませんでした」と、原作との出会いも明かしました。

 

 続いて福之助が、「思い出のある8月の納涼の舞台で弟が主演をして、親友という大事なお役で共演できることを、とてもうれしく思っております。(キャラクターについて)勘九郎の兄からは、二人にぴったりだと。漫画で、二人が一緒にいるときは、僕が演じる鎌切大作ばかりが話しています。確かに家でも僕がしゃべってばかりで、弟からはそうだね、としか返ってこないことが多いので、自分でもぴったりではないかなと思って…」と、笑いを交え、場を和ませながら語ります。

 

歌之助、福之助が語る、歌舞伎座『新選組』

 

漫画に込められた思い

 先日、兵庫県宝塚市にある手塚治虫記念館にも訪れた二人。歌之助は「鮮やかで、発想力のある手塚治虫先生の絵を、子どもの頃から魅力的に思っていました。先生は作品に平和への思いを込めるとともに、本当の正義とは何なのかということを表現していらっしゃって、舞台でもそこに向かうことがまず、目標だと思っています。漫画に忠実な部分が多いので、原作をご存じの方にも楽しんでいただけると思いますし、良いせりふが散りばめられているので、初めて歌舞伎をご覧になる方にもぜひ見ていただきたいです」と、アピールします。

 

 それを受けた福之助も、「この作品に限らず、手塚治虫先生の漫画には “その他大勢” がいないとうかがいました。一人一人の顔、衣裳なども細かすぎるくらい特徴をもって、キャラクターが描かれているので、それを舞台でも、皆で意識して引き継がなくてはと感じました」と、気持ちを込めます。「役名の読み方から、手塚プロダクションの方にも相談しながらつくっています。今回僕たちがやったことが歌舞伎作品として残っていく、その責任も感じますが、大きなお役をやる以上、ファンの方々に失礼にならないよう、自信をもって勤めたいです」。

 

 全身全霊を注いで

 原作に近づけるように、鬘や化粧を工夫してスチール撮影に臨んだと明かしつつ、歌之助は、「写真を見た父(中村芝翫)から、期待してるよ、と言葉をかけられ、喜びとプレッシャーがありました。歌舞伎のホームである歌舞伎座での主演は、ターニングポイントだと思っています。全身全霊を注いで、このひと月を勤めなくては」と、気合十分。「殺陣や立廻りも多く登場しますので、少しでもイメージに近づけるように。歌舞伎の要素と、手塚治虫先生の特徴的な世界をうまく融合させられたらと思います」。

 

 「襲名のときも含め、この2年ほど、たくさんのお役で経験させていただいたことを思い切りぶつけていきたいです。歌之助と、兄弟二人がクローズアップされることに対しては緊張もありますが、サポートできる部分はしっかりとしながら、弟に僕の引き出し、選択肢も共有して協力してやっていけたらと思っております」と、福之助も頼もしく語りました。 

 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は、8月5日(金)~30日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

歌之助、福之助が語る、歌舞伎座『新選組』

 

2022/07/22