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獅童、南座「吉例顔見世興行」へ向けて

獅童、南座「吉例顔見世興行」へ向けて

 2022年12月4日(日)から上演される南座「當る卯歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」に出演する中村獅童が、公演について語りました。

24年ぶりに出演する「吉例顔見世興行」

 獅童はこれまで『あらしのよるに』や「超歌舞伎」など、南座での公演にたびたび出演してきましたが、「吉例顔見世興行」への出演は実に24年ぶりとなります。第一部の『義経千本桜』「すし屋」では5年ぶり2度目のいがみの権太を、そして第二部の『松浦の太鼓』の大高源吾を初役で勤めます。

 

 「南座で先輩方のお芝居や舞台稽古を客席で見て、いつかあのようなお役を自分もやってみたいと感じていました。そうしたいろいろな思いが詰まった劇場です」と、話す獅童。吉例顔見世興行は「京都の一大行事ですし、歴史深い興行でもございますので、そのような大舞台で、自分が出し物をさせていただけることは、非常に責任を感じます」と、心境を口にします。「何をやらせていただくときもそうですが、劇場に行ってよかったと思っていただけるような芝居を、心を込めて、魂を込めて演じたい」と、強く意気込みます。

 

新たな気持ちで勤める、いがみの権太

 平成29(2017)年 の「松竹大歌舞伎」巡業で、初役でいがみの権太を勤めた獅童は、「病気をしたあとの復帰作が『すし屋』でした。新潟の会館でしたが、最初花道から出て行ったときに、もう割れんばかりの拍手でお客様が迎えてくださりました。本当に今でもちょっとぐっと来てしまう思い出です」と、改めて舞台に立ち続ける覚悟を決めた、大切な演目であることを語りました。

 

 初役の際、稽古は松本白鸚につけてもらったといい、「ミキくん(獅童)らしい権太をやりなさいと言ってくださった。絶対こうでなければだめ、という教え方はなさらないのですごく印象的です」と、指導の様子を明かします。5年ぶりの権太を演じるにあたり、「2回目が実は一番難しい」と自身の見解を述べ、「(1回目より)進歩していないといけない、と考えたときに、権太の気持ちから離れてしまう瞬間があるので、いつも初役のつもりでやらせていただいています。ただもちろん、白鸚のおじ様に教えていただいたことを大切に演じたいと思いますし、そのほかのお役でも5年分の経験がありますので、そこはやはり(成長した姿をお見せできるよう)肝に銘じて勤めたいと思います」。

 

獅童、南座「吉例顔見世興行」へ向けて 

 大先輩との共演

 第二部『松浦の太鼓』で松浦侯を勤める片岡仁左衛門との共演について、獅童は「本当に身に余る光栄。胸がいっぱいです」と喜びを表します。「何歩か歩いて出てきただけで、まだ何もしてないのに空気が変わる。仁左衛門の兄さんのそういった空気感やオーラは目に焼きつけておきたいですし、一回一回の共演が僕にとって、本当に一生の宝物ですので、今回も全身全霊でやらせていただきたいと思います」と、決意を見せます。今回仁左衛門からは、「誰にも教わらず自分で(大高源吾を)つくって来て。そのあと稽古でいろいろと教えるから」と言われ、現在まだ「研究中」とのこと。稽古を経て12月の南座で獅童が見せる大高源吾に、今から期待がふくらみます 。

 

 『忠臣蔵』にからんだ演目がかかることにより、「喜んでくださる方もいらっしゃいますし、若い方たちには『忠臣蔵』の世界に触れ合うことで、(ストーリーなどを)知っていただけたらうれしい」と、熱い思いをのぞかせた獅童。「常日頃、伝統を守っていくうえで若い方々に、どのように古典に興味をもってもらうかを考えている」と語るだけあり、余念がありません。「今回こうやって参加させていただいたわけですから、これからも吉例顔見世興行が長く続いていくために、自分なりに考えていきたい」と、真摯に述べました。 

 南座「吉例顔見世興行」は12月4日(日)から25日(日)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で発売中です。

2022/11/18