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南座「吉例顔見世興行」初日開幕

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

 

 2024年12月1日(日)、南座で「吉例顔見世興行」が初日の幕を開けました。

 昼の部は、オペラの名作を題材にした新作歌舞伎『蝶々夫人』で幕を開けます。文明開化時代の長崎を舞台に、壱太郎が演じるお蝶の純愛や哀れに心打たれます。続いて、河竹黙阿弥の名作『三人吉三巴白浪』より、同じ吉三の名をもつ、お嬢吉三(孝太郎)、お坊吉三(隼人)、和尚吉三(錦之助)が出会う「大川端庚申塚の場」を上演します。歌舞伎の様式美に彩られた名場面に客席からは大きな拍手が送られました。『大津絵道成寺』では、江戸時代に庶民の間で流行した大津絵に描かれた代表的な人物5役を、早替りとともに壱太郎が演じ分けます。その鮮やかな早替りに、客席から感嘆の声がもれました。そして『ぢいさんばあさん』では、おしどり夫婦の美濃部伊織(中車)と妻るん(扇雀)の数奇な運命が描かれます。伊織は義弟に代わり1年間の京都勤めとなりますが…。前半の若夫婦の初々しいやりとり、そして白髪姿となった二人が37年ぶりに再会する心あたたまる展開に、客席は感動に包まれました。

 夜の部は『元禄忠臣蔵』「仙石屋敷」で開幕します。赤穂四十七士の討入り直後、仙石伯耆守(梅玉)の屋敷を舞台に、思慮深い大石内蔵助(仁左衛門)が自身の信念を印象づけていくせりふ術に、客席は一気に作品の世界へと引き込まれます。続く『色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)』「かさね」では、かさね(萬壽)と与右衛門(萬太郎)がしっとりとした色模様をみせる前半から、後半のかさねの変貌ぶりまで、恐ろしくも美しいドラマ性に満ちた物語が観客を魅了します。そして『曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』「御所五郎蔵」では、俠客の御所五郎蔵(隼人)が、星影土右衛門(巳之助)と対峙する場面での、流れるような七五調のせりふ、歌舞伎の様式美にあふれた演出をじっくりとご堪能いただきます。切狂言の『越後獅子』では、角兵衛獅子(鴈治郎)の一行が故郷の越後を偲びながら軽快に踊ります。テンポよく見ごたえのある舞に客席からは大きな拍手が沸き、華やかに幕となりました。

 南座「吉例顔見世興行」は22日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

2024/12/04