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「四国こんぴら歌舞伎大芝居」初日の賑わい

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」初日の賑わい

 

 2025年4月4日(金)、香川県の旧金毘羅大芝居(金丸座)で、「第三十八回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」が初日を迎えました。

 今年の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は義太夫狂言の『毛谷村』から開幕。心優しく孝心厚い剣客・毛谷村六助(萬太郎)と微塵弾正(錦之助)の試合から始まります。許嫁のお園(時蔵)らとのやり取りに六助の優しさが滲む一方、騙されたと知った六助が庭石を踏みつける迫力は観る者を圧倒しました。続いては河竹黙阿弥の世話物『魚屋宗五郎』。断酒していた宗五郎(獅童)は、妹が殺された悲しみと憤りから酒を飲み、家族の制止も振り切って、妹の奉公先へと殴り込みます。泣いて笑って、あふれる感情がぐっと伝わり、観客もすっかり宗五郎と一緒になって喜怒哀楽を味わいました。

 第二部は『蜘蛛の拍子舞』から始まります。前半では病気の源頼光(時蔵)のもとに薬を届けにきた妻菊(萬壽)と頼光、家臣碓井貞光(萬太郎)が拍子舞を披露します。明るい間狂言を挟み、いよいよ恐ろしい正体を現した女郎蜘蛛の精(萬壽)と頼光たちの戦いへ。坂田金時(錦之助)も加わり、間近で繰り広げられる迫力ある立廻りに、金丸座中が沸きました。切りは世話物の『らくだ』。弱気な紙屑屋の久六(獅童)と強気な手斧目の半次(精四郎)が、らくだというあだ名の男の死体を踊らせ、家主夫婦(権十郎・吉弥)を驚かせる様子に場内が爆笑に包まれます。酒屋の丁稚(陽喜・夏幹)の登場に温かい拍手が起こる場面も。最後にお酒を飲んで性格が変わった久六と半次の逆転したかけ合いに、芝居小屋が笑いさざめくなかで幕となりました。

 旧金毘羅大芝居(金丸座)「第三十八回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」は4月4日(金)から20日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹のほか、「琴平町役場 こんぴら歌舞伎事務局(0877-75-6714)」で販売中です。

2025/04/07