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幸四郎、七之助が語る「壽 初春大歌舞伎」

幸四郎、七之助が語る「壽 初春大歌舞伎」

 

 

 2023年1月2日(月・休)から始まる歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」に出演の松本幸四郎、中村七之助が、公演に向けての思いを語りました。

 「壽 初春大歌舞伎」では各部で、没後130年の節目を迎える河竹黙阿弥の作品をお届けします。第三部の『十六夜清心』では、上演頻度の高い稲瀬川から百本杭の三場だけではなく、大詰までを上演し、ドラマティックな展開をご覧いただきます。清心、そして十六夜にそれぞれ初役で挑む幸四郎と七之助は、「音楽的、視覚的な美しさが印象に残り、またドラマとして完成するものを目指したい」(幸四郎)、「あまり舞台にかからない、後の場面もみどころ。お客様にたっぷり楽しんでいただければ」(七之助)と、演じるにあたっての思いを伝えました。

 

幸四郎、七之助が語る「壽 初春大歌舞伎」

 

心中で始まる物語

 本作は恋仲である僧の清心と遊女の十六夜が心中を決意する場面から始まります。まさにこの冒頭が肝心だと言う幸四郎。「心中から始まる珍しい世界。最初に、二人がどれだけ好き合っているのかを感じていただかないと成立しないお芝居です」。七之助も、心中に失敗した十六夜の、その後の数奇な運命に触れ、「お客様に納得していただくには、やはり最初にすごく清心を好きだと伝えないと難しい。その後も、ずっと殊勝に清心を思う心を見せられるよう、大切に演じたいですね」と続けます。

 

 その大事な心中の場面を彩るのは、清元の名曲「梅柳中宵月」です。幸四郎は、「歌舞伎の見せ方のすごいところで、心中という生々しい場面ですが、清元が語るなかで進むと、儚さや切なさがあり、好き合うことが美しく見える」と、その魅力を熱弁します。また、片岡仁左衛門から、「このくだりは、踊りになってはいけない。お芝居の流れのなかの一つのアクセントとしてポーズがある」と、アドバイスを受けたと明かしました。

 

 一方、坂東玉三郎に教わったという七之助は、「清元をしっかり聞いて使いなさいと。そこに情緒が出るということだと思います。やることも多く難しいですが、振りにならないよう、何気なく演じることを一番大切にと言われました」と話します。「義太夫とも違う、素敵なメロディーも使って、清元と私たちの空気で一気に世界観をつくっていく。そこが清元でやることの味噌なのではないでしょうか」と、考えを述べながら、「とっても楽しみです」と、期待をのぞかせます。

 

幸四郎、七之助が語る「壽 初春大歌舞伎」

 

黙阿弥が描く『十六夜清心』

 黙阿弥作品について、幸四郎は、「修飾語が多い七五調を、ただ覚えて言うだけではなく、その役になっていないといけない。人が生きるドラマだと踏まえたうえで、どれだけせりふが気持ちのよい音楽として耳に入ってくるか、そこにメッセージがあるか、そのバランスが難しい」と分析します。また、特に本作については、「松嶋屋のおじさま(仁左衛門)から、前半と後半で清心が別人のようにガラッと変わる、その演じ分けが気持ちいいところなのでメリハリをつけて」と、教わったと話しました。

 

 七之助も、「やはり(せりふの)音楽と、性根とのバランスがとても難しいと思います」と、大きく頷きます。「玉三郎のおじさまも、理屈で考えてはいけないと仰っていました。お客様に深く考えさせないうちにどんどん展開していく、理屈ではない歌舞伎の魅力がある。ただ、せりふをずっと単調に続けると、退屈で窮屈になってしまうので、歌いたいせりふと、ちゃんと畳みこんでいくせりふのバランスをとり、運ぶところは運んで、聞かせる部分は聞かせる、その緩急が難しい作品だと思います」。

 

 熱い思いをもって『十六夜清心』に挑む二人は、出演する各作品への期待も口にします。1月は本作のほかに、幸四郎は第二部の舞踊劇『壽恵方曽我』に高麗屋三代そろって登場、また七之助は浅草歌舞伎で切磋琢磨してきた顔ぶれが並ぶ、第一部の『卯春歌舞伎草紙』、『弁天娘女男白浪』に出演します。大切な1年のはじめを飾る、華やかな「壽 初春大歌舞伎」の開幕まで、気づけばあと数日です。

 歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」は、2023年1月2日(月・休)から27日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/12/27