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雀右衛門が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

雀右衛門が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 

 2023年6月3日(土)に開幕する博多座「六月博多座大歌舞伎」に出演の中村雀右衛門が、公演に向けての思いを語りました。

7年ぶりの博多座へ

 平成28(2016)年の6月以来、7年ぶりの博多座への出演となる雀右衛門。「小さな頃から九州の公演にはたびたび行かせていただいて、博多座さんへは襲名興行以来の8回目の出演になります。初出演時から変わらず、博多座のお客様はいつも熱く応援してくださる印象があります。東京以外の土地の公演に出演するのは久しぶりなので、本当に楽しみにしております」と、切り出します。

 

 昼の部の幕開きは『廓三番叟』です。「“式三番叟”という、昔からおめでたいときに舞う舞踊を題材にして、“廓”とついている通り、遊郭の画に当てはめて仕立てた、大変華やかで格式のある舞踊作品です。傾城を勤めますので、廓の風情をお客様に感じていただけることが大事だと思っています」と、思いを込めます。

 

雀右衛門が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 

対照的な女性像を演じる

 続いて、昼の部『人情噺文七元結』で勤める女房お兼について「博打ばかりの長兵衛を見かねた娘の行動で物語が展開しますが、女房のお兼は亭主と娘それぞれを大切に思い、情をもって接していきます。生世話で、江戸の人情を感じる作品です」と、語ります。

 

 さらに、夜の部『夏祭浪花鑑』で勤める徳兵衛女房お辰についても「徳兵衛は侠気のなかに生きている男。その女房のお辰は、亭主を助けながらも自分の芯を通す、徳兵衛に負けないぐらい強い女性です。彼らの生きざまのすごさをご覧いただければ」と、その魅力に触れ、「昼の部と夜の部で演じる女性はまったく違うタイプですが、 二つのお役ともに、物語には欠かせない人物。そこにいることによって、よりいっそうお芝居が引き立つように演じたいです」と、抱負を述べました。

 

 それぞれの作品らしさを

 「歌舞伎のお芝居には、切り口がたくさんあると思います。贔屓の俳優、音楽的な部分、舞踊、舞台装置もそれぞれの演目で風情が違います。今回の公演ですと、『廓三番叟』は形の一つひとつが綺麗な舞踊で、振る舞いによって成立していますし、『人情噺文七元結』、『夏祭浪花鑑』は、それぞれ江戸の町、大坂の町の情景も楽しんでいただける要素になっています」と、演目の多彩な魅力も紹介します。

 

 「博多はおもてなしの上手な町。芝居が終わった後は、どれをとりましてもおいしい食べ物を、いろいろ見つけに行きたいですね」と、笑顔をみせる雀右衛門。「出演者はそれぞれ本当に一所懸命で、これから歌舞伎を背負って立つ方たちと一緒に舞台を勤められることを、大変幸せに思っております。どれも自分にとって大切なお役ですので、それぞれの作品の“らしさ”を感じとって、皆様に良かったなと思っていただけるよう、精一杯勤めたいと思います」と、締めくくりました。

 博多座「六月博多座大歌舞伎」は、6月3日(土)から19日(月)までの公演。チケットは博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。

2023/05/31