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鴈治郎が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

鴈治郎が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 

 2023年6月3日(土)に開幕する博多座「六月博多座大歌舞伎」に出演の中村鴈治郎が、公演に向けての思いを語りました。

客席も舞台の一部

 これまで15回博多座の舞台に出演してきた鴈治郎は、「(博多座のお客様は)間違いなくノリがいい」と、その印象を笑顔で話します。今回は平成30(2018)年6月以来、5年ぶりの博多座出演となり、昼の部では『太刀盗人』のすっぱの九郎兵衛を、夜の部では『夏祭浪花鑑』の釣船三婦を勤めます。「5年ぶりの博多座ですし、活気が戻った博多の街を見るのも楽しみです」と、期待を寄せます。

 

 博多座では劇場関係者による大向うが今年2月から再開され、また初夏の風物詩である船乗り込みは、4年ぶりに開催予定です。「大向うがあると盛り上げていただける。歌舞伎というのは、客席も舞台の一部かもしれません。お客様の声援などは僕ら役者にとって本当に必要ですし、励みにもなります」と、思いを噛み締める鴈治郎。「お客様から、“今年は船乗り込みもあるのですね”というお声をいただけるのは、きっと待っていてくださっていたから。皆様にはまた(博多座での歌舞伎公演を)楽しんでいただけると思います」と、意気込みます。

 

鴈治郎が語る、博多座「六月博多座大歌舞伎」

 

踊りと芝居でみせる「六月博多座大歌舞伎」

 昼の部で上演される『太刀盗人』は、狂言「長光」を題材にした松羽目物の舞踊。「“太刀泥”と言っているくらいですから、人の物を狙う悪い奴のお話です。お狂言から来ていますので、おかしみがあり、肩の力を抜いて観ていただける演目です」と、説明します。「九郎兵衛が、目をつけた田舎者万兵衛の太刀を盗もうとするのですが、(片岡愛之助演じる)万兵衛がまたいい男だから困る(笑)。どのように手に入れようとするのかを、楽しんでいただければ」と、呼びかけました。

 

 夜の部は、浪花の俠客の生き様が描かれる義太夫狂言『夏祭浪花鑑』に出演します。「夏祭りですから、この時期に本当にぴったり」、と話す鴈治郎。平成19(2007)年大阪松竹座「浪花花形歌舞伎」で『夏祭浪花鑑』を上演した際を振り返り、「このとき三婦を演じ、いわゆる“老け役”を初めてやらせていただきました。役の幅が少し広がったという意味で、思い出深い役です」と、感慨深げに語ります。「三婦は(俠客ですので)、一瞬背中に筋彫がちらっと見えるぐらいの役だと思ってやっています。それでもやはり団七と徳兵衛の二人の男に慕われ、信頼されている。任俠に熱い男」と、役への心構えを明かしました。

 博多座「六月博多座大歌舞伎」は、6月3日(土)から19日(月)までの公演。チケットは博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。

2023/05/31