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團十郎が語る、新橋演舞場「初春歌舞伎公演」
2024年1月6日(土)から始まる新橋演舞場「初春歌舞伎公演」に出演の市川團十郎が、公演への思いを語りました。
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新たな解釈の『平家女護嶋』
令和6(2024)年、年明けの新橋演舞場では、歿後300年を迎えた近松門左衛門の『平家女護嶋』を、石川耕士による新たな解釈と演出で上演します。「源義朝、常盤御前の夫婦の子どもである牛若丸。彼を守るために、常盤御前は、平家になびいて生きていきます。さらに、源氏方でありながら平家でいる実盛など、さまざまな人間模様が背景としてあるうえで、実盛は娘のひな鶴と、常盤は息子の牛若との親子関係の情愛を描く、しっかりとした骨組みのある題材になっております」と、團十郎は語ります。
演出の石川は「以前、新橋演舞場で團十郎さんが『俊寛』に出演された際(令和元年)に、その後の『春興鏡獅子』で、まったく違うお小姓の弥生の姿で美しく出てきたのがとても印象的だと思いました。今回は團十郎さんが2役を演じ、女性の役(常盤御前)のときには(市川)新之助さんが息子の牛若丸。男性の役(実盛)のときは、(市川)ぼたんさんが娘のひな鶴の役をやると、とてもいいのではと思いました」と、今回の配役について明かしました。
稽古の開始を前に、ぼたんは、「歌舞伎らしい物語、お芝居を演じることがあまりなかったので、心配も強いですが、これからたくさん物語を読み込んで、好きなせりふや、心に残る部分を見つけていきたいと思います」と、語ります。新之助は、「牛若丸で、このような新作を勤めさせていただけるのは、すごく貴重なことだと思います。精一杯お稽古して頑張ります」と、それぞれが公演への強い思いを述べました。
家族の愛と絆の物語
古典のせりふ劇への、三人そろっての出演は今回が初めてになるとのこと。「台本をお見せしたいぐらい、お芝居のなかでたくさんせりふを喋っています。せりふ劇で、全員が丁々発止のやり取りなのです。今までにやったこととは違う難しさがございますが、これまで二人とも、年齢にそぐわないハードルの高い場面をきちんと乗り越えてきているということを親目線でも感じますので、あえてプレッシャーをかけると言いますか、二人なら乗り越えられるだろうと思っています」と、期待を込めます。
テーマである、「家族の愛と絆の物語」にちなみ、家族の愛を感じる瞬間を問われた團十郎は、「最近は、襲名披露興行などで長期間家を空けることがありますが、戻ったときにぼたんが笑顔で待っていてくれること。また、倅は博多座での襲名披露公演に出演しましたが、ずっと一緒に過ごし、一所懸命、舞台に向かう後ろ姿を見ていますと、幸せを感じます」と、語ります。ぼたんは、「みんなで自転車で出かけるのが好きで、先に自転車を漕いでいる父と一緒に話をしているとき、これって幸せだなという風に感じます」、新之助は「朝起きて、みんなとご飯を食べて、何気ない一言が愛を感じるひとときだと思います」と、答え、会場は温かな空気に包まれました。
「伝統文化のなかで歌舞伎をやり続けることは、我々の義務でもあります。毎年、お正月に新橋演舞場に出演しておりますが、演劇を、歌舞伎を楽しんでくださる方々を大切に公演をしたいと考えています」と、團十郎が結びました。
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新橋演舞場「初春歌舞伎公演」は1月6日(土)から25日(木)までの公演。チケットは11月25日(土)より、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売予定です