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萬壽、時蔵、梅枝が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

萬壽、時蔵、梅枝が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

 2024年7月3日(水)から始まる大阪松竹座「七月大歌舞伎」に出演する中村萬壽、中村時蔵、中村梅枝が、公演に向けての思いを語りました。

大阪での襲名披露

 大阪松竹座「七月大歌舞伎」では、歌舞伎座「六月大歌舞伎」に引き続き、初代萬壽(まんじゅ)、六代目時蔵が襲名披露し、五代目梅枝が初舞台を踏みます。また、公演に先駆け、6月29日(土)には恒例の船乗り込みが実施されることが決定しました。萬壽は、「“関西・歌舞伎を愛する会”が結成されて今年で45周年となりました。恒例の船乗り込みも、お客様が待ってましたとばかりに声援を送ってくださるので、とても励みになります。大阪松竹座で、毎年7月にひと月歌舞伎公演ができるのは、やはり前身の“関西で歌舞伎を育てる会”、“関西・歌舞伎を愛する会”の皆様のご協力、そしてお客様のおかげでもあると思います」と、思いを述べます。

 

萬壽、時蔵、梅枝が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

 続けて時蔵も、「久しぶりの大阪松竹座に、襲名披露で父と息子と三代で出演できることをとてもうれしく思います。7月の大阪松竹座公演は、歌舞伎を愛してくださっている関西のお客様が大勢お越しいただけるイメージがとても強く、恒例行事の船乗り込みも楽しみです。(梅枝に)船から落ちないように気を付けてね」と、最後には、今年初めて船乗り込みをする梅枝にも、冗談混じりに声をかけました。梅枝も、「中村梅枝です、よろしくお願いします」と、しっかりご挨拶し、「梅枝と呼ばれるようになって、名前に少しずつ慣れてきました」と、祖父・父に温かく見守られながら心境を告白しました。

 

 
萬壽、時蔵、梅枝が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

孫と力を合わせて

 『恋女房染分手綱』「重の井」について、萬壽は、「孫と共演できる演目ということで選びました。二度重の井を勤めさせていただきましたが、上演頻度があまり多くない作品でして。三吉がとても大切な役になりますので、梅枝には頑張ってほしいです」と、梅枝へエールを送ります。これから始まる稽古に向けて、三吉をどう演じたいかという質問に、梅枝は、「とりあえずかっこよく!」と、笑顔で回答。すると萬壽が、「今回の役は、立廻りがないからな…」 と話し、会場が穏やかな笑いに包まれました。

 

 続けて、「梅幸のおじ様(七世尾上梅幸)が重の井をされたときに調姫を演じ、とても優しく接してくださったことを覚えていて、自身が演じるときは梅幸のおじ様に習いたいなと思い、初役の際にお願いしました。公演の写真を持ってきて、衣裳なども見ながらお話ししてくださったのですが、ちょうど写真に(私が演じていた)調姫が写っていて。おじ様が、“調姫を演じていた君に重の井を教えるようじゃ、俺も年を取ったな(笑)”とお話されて…。懐かしい思い出がよみがえりました」と、当時、七世尾上梅幸に教わったエピソードを交え、今回の襲名披露演目について感慨深く語りました。

 

萬壽、時蔵、梅枝が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

念願の演目に挑戦

 三代目、四代目時蔵も襲名披露で勤めた『八重桐廓噺』「嫗山姥」の八重桐に挑戦する時蔵は、「父から教わって勤めます。襲名披露でどの演目をやりたいかと父に聞かれ、最初に『嫗山姥』と伝えたんです。そうしたら、大阪松竹座でさせていただけることになりました。とても古風で華やかな演目ですので、大阪のお客様にもお楽しみいただけると思います。また、夜の部最後の演目ですので、派手な立廻りで終演し、華やかな気持ちでお帰りいただけたら」と、思い入れのある演目への意欲を見せます。

 

 これまでにもたびたび勤めている萬壽は、「私が演じたときに彼も出演していて、いつかやりたいと舞台袖でしっかり見ていたと思うので、ある程度分かっていると思います。やはり“しゃべり”の部分が大変で、義太夫さんともしっかり確認をしながら稽古をします。ただ最後は立廻りがあって、見得が決まると気持ちが良い、女方では珍しいお役ですので、一所懸命教えられたら」と、演じるうえでの難しさを伝えながら、時蔵への期待も寄せました。

 

 大阪松竹座「七月大歌舞伎」は7月3日(水)から26日(金)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2024/06/14