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團十郎が語る、歌舞伎座『星合世十三團』

團十郎が語る、歌舞伎座『星合世十三團』

 

 2024年7月1日(月)から始まる歌舞伎座「七月大歌舞伎」昼の部『星合世十三團』に出演の市川團十郎が、公演へ向けての思いを語りました。

團十郎が語る、歌舞伎座『星合世十三團』

 

誰もが楽しめる作品に

 令和元(2019)年7月の歌舞伎座での初演から5年、その間も「演じたい気持ちが強かった」と明かす『星合世十三團』に、再び團十郎が挑むことになりました。歌舞伎の三大名作の一つ『義経千本桜』のドラマ性に焦点をあて、早替りや、宙乗りなど歌舞伎の魅力が詰まった本作は、主要な13役を一人で演じ分ける新たな試みも好評を博し、初演時も注目を集めました。今回は歌舞伎をご覧になったことのないお客様にも楽しんでもらえるよう、「せりふに至るまで、わかりやすさを意識したい」と、再演への意欲を見せます。

 

 『義経千本桜』の物語の魅力については、「通し狂言として演じることで、狐が親を思う純粋な気持ちから人々が学ばないといけない、というメッセージのある作品なのでは、と感じるようになりました。その思いを現代に合わせた形で再構成したのが本作です」と、作品の根底に据えた考えを明かします。

 

 取材会の会場に並ぶ衣裳の話題になると、「ここには私が演じる13役を象徴する衣裳が飾られていますが、ここにある衣裳だけではなく、さらにほかの衣裳もありますし、早替り用に同じ衣裳が複数用意されてもいます。早替りのときの舞台裏は、まるでF1のピットインのようです。スタッフさんたちが、本当にプロフェッショナルだからこそできることだと思います。そういうところも感じていただけるとうれしいです」と、微笑みます。

 

先人たちの思いを背負って

 「渡海屋・大物浦」の知盛と「すし屋」の権太は、父・十二世團十郎に、丁寧に教えを受けたと話す團十郎。「四の切」には、成田屋の型がなく、二世市川猿翁(当時 三代目市川猿之助)に教えを乞うたと言います。「父とは常に一緒に過ごしておりましたから、さまざまなことを背中で教えてもらいました。猿之助のおじさん(二世猿翁)は、お目にかかるタイミングは少なかったのですが、短い時間でも私への思いを熱く語ってくださった。土台に父の愛、歌舞伎への思いがあって、猿之助のおじさんや、さまざまな先輩の言葉が響いてきます」と、真剣な眼差しで語ります。

 

 また、公演チラシに英語も併記したことについては、「最近は海外のお客様も多く、歌舞伎のみならず、このような対応が必要とされているのではないかと思います。口上に英語を入れることも相談しています」と、新たな挑戦も検討しているとのこと。最後に、「歌舞伎を観たことがない方も、気軽にお越しいただきたいと思います。現代では敷居が高く感じられるかもしれませんが、歌舞伎は元来敷居の高いものではありませんでした。日本の文化を気軽に楽しんでいただきたいです」と、笑顔で語って締めくくりました。

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」は7月1日(月)から24日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売中です。

 

2024/06/18