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澤村國矢が歌舞伎座「十二月大歌舞伎」で二代目澤村精四郎披露
2024年12月3日(火)から始まる歌舞伎座「十二月大歌舞伎」で、澤村國矢が澤村精四郎(きよしろう)と名を改めることが発表されました。
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國矢は、平成7(1995)年に二代目澤村藤十郎のもとへ入門、同年5月に澤村國矢を名のりました。このたび、藤十郎の芸養子となり、「十二月大歌舞伎」で二代目澤村精四郎を名のり披露します。
國矢から精四郎へ
國矢は、「私の師匠・澤村藤十郎が以前名のっていた澤村精四郎を、二代目として襲名させていただくことになりました。また、藤十郎の芸養子並びに幹部昇進となり、このようなうれしいことはございません。幕張の超歌舞伎からのご縁で本当によくしていただいている獅童さん、諸先輩の皆様、そして松竹株式会社のご了解をいただき、今回の運びとなりました。子どもの頃から憧れていた歌舞伎の舞台で、幹部の皆様がされてきた役を演じることが楽しみです。覚悟を決めて頑張りたいと思っています」と、喜びをあらわにします。
“國矢”という名前が変わることについて、「30年近く名のっていたので、國矢のままでもいいのではないかという話もあったのですが、旦那(藤十郎)に考えていただいた結果、旦那が若い頃に名のっていた精四郎に決まりました。旦那も自分の名前を人に譲るのが初めてなので、違和感や気恥ずかしさと、自分の名前が奪われた寂しさもあったようですが(笑)、とても喜んでいただきました」と、笑顔で語ります。
師匠・藤十郎への思い
藤十郎への思いを聞かれると「10歳のときに、『河内山』で師匠が松江出雲守を演じ、その小姓で出演したのが出会いでした。とても可愛がって、毎日気にかけてくださって…。その後、『うちのところに来なさい』と声をかけていただき、自身が歌舞伎を生業とするきっかけとなりました。師匠は芝居が大好きで、初日は必ず全演目見ていました。またプロデュース能力にも長けていて、俳優として芝居だけでなく、携わる人々との関係構築が得意で、広いつながりをもつ方。日頃からいろいろなことをアドバイスしていただいています」と、しみじみと明かします。
深い縁がある獅童については、「私の役者人生のターニングポイントは、超歌舞伎で青龍を演じたときでした。獅童さんには今回のことはすごいと言っていただき、“名前をいただいてさらに頑張れるね。紀伊国屋という名前を意識してもっと頑張って”と、お話しいただきました。尊敬する兄貴のような存在でもあり、いつも親身になって考えてくださる“家族”のようです。そんな獅童さんに音頭を取っていただいて襲名披露できるのがうれしいです」と、感謝の気持ちを述べました。
歌舞伎俳優としてのこれから
今後、精四郎をどのような名前にしていきたいか問われると、「旦那が若い頃に名のっていた精四郎には爽やかな印象があり、名前に似合う若い役もやりたいと思います。また小さい頃から踊りが好きで、踊りはひとつ自分のなかでの武器だと思っています。芝居をするうえでも、時代物の形が綺麗だったり、見得をしたときの形が綺麗だったりと、所作として踊りが必要だと思いますので、古典での見せ方も意識していきたい」と、今後の展望を語ります。
「一般家庭から幹部になることは稀なので、この立場をしっかり意識しながら、これから舞台に立たなければいけないと責任を感じます。芝居をやっていくうえで、頑張る目標がなくなるとモチベーションが失われていってしまうと思いますが、最近は我々名題も良い役をさせていただくことが増えているので、幹部になる道がしっかりあるんだよと皆さんに思っていただけるように頑張っていかないといけないですし、その希望になりたいと思います」と、真剣な面持ちで意欲を見せました。
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歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は、12月3日(火)から26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で11月14日(木)から販売予定です。