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歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助襲名披露

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助襲名披露

 

 2026年5月3日(日・祝)から始まる歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で、尾上左近が三代目尾上辰之助を襲名することが発表されました。

 今年5月に行われる歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」で、尾上左近が、祖父(三世尾上松緑)が初代、父(四代目松緑)が二代目として名のっていた尾上辰之助を、三代目として襲名します。襲名披露狂言として、『寿曽我対面』の曽我五郎、『鬼一法眼三略巻』「菊畑」の奴虎蔵実は源牛若丸を勤めることも発表されました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助襲名披露

 

大切で大好きな名跡

 このたびの襲名について、七代目尾上菊五郎は、「本当にうれしいことです。初代の辰之助とは大親友で、お互いに切磋琢磨し合った思い出がいろいろございます」と感慨深く語りました。「ここ2、3年、めきめきと腕に力をつけてまいりまして、立役も女方も演じる。私のみならず劇界の先輩たちも、本当に研究熱心だとほめております」と、自らがその初お目見得や初舞台の口上も勤めてきた左近の成長ぶりに太鼓判を押します。

 

 松緑は、「彼の曾祖父(二世松緑)、祖父の足元に一歩でも近づけるような役者になってもらいたいと思っています」と期待を寄せます。左近は、「辰之助は、祖父が初めて名のり、その後父が若くして名のり、命を懸けて守り繋いでくれた、家にとっても自分にとっても、本当に大切で大好きな名前です。この名前を襲名させていただくからには、生涯をかけて芸道に精進し、諸先輩方のお力添えをいただき、同輩後輩と手を取り合い、一所懸命歌舞伎に打ち込んで参ります」と、一言ひとことに思いを込めるように話しました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助襲名披露

 

いただいた役すべてに精進

 「女方も立役も、いただいた役すべてに努力し、精進していく」と宣言した左近。襲名披露狂言として勤める『寿曽我対面』の曽我五郎は、祖父も父も辰之助襲名で演じた役です。「この演目で襲名したいという気持ちが強くあり、この役に重みを感じています。しっかり父に習い、精一杯勤めたいと思っています」と、真摯な表情を見せます。

 

 襲名披露狂言のもうひと役、『鬼一法眼三略巻』の虎蔵については、「個人的に好きなお役でございまして、前半の若衆奴の色気、可愛げ、そして後半の牛若のいわゆる総大将の重み、強さ、そういったものの切り替わり、義太夫狂言ならではの色彩のある華やかな舞台、せりふ回し、とても好きなお芝居です」と、熱意あふれる言葉で役への思いを伝えます。「(七代目)菊五郎のおじ様に教えていただき、これからどんどん吸収していきたい、本当に楽しみです」と目を輝かせました。

 

 続いて左近は、「祖父、父とは体格も違いますし、憧れではありますが、自分と違う面をしっかり認識して、自分ならではの、自分の色を出していける、そのような道を歩んでいきたいと思っております。紀尾井町の家に伝わる、六代目菊五郎から受け継がれてきた荒事、生世話物も家のものとして、しっかり勉強して精進していきます」と、歌舞伎俳優としての志を伝えました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助襲名披露

 

自由な辰之助像を

 「私にとって、祖父はヒーローのような存在。大好きな祖父の姿を直接見ることができていないことは、辛い部分でもありますが、祖父を知らない強さというのもあると思っています。父も憧れであり偉大な役者で、教えてもらいたいことがたくさんあります。父が演じたことのない役を勤めるときは見守っていただいて、家の芸、父が勤めてきたものを演じるときには、正々堂々と父と向き合い、その姿を見て学んでいけたらなと思っております」と、素直な心境を明かす左近。

 

 こうした左近の言葉を聞き、菊五郎は「今の勉強熱心さを忘れずに、ゆくゆくは祖父、父に勝るとも劣らない立派な辰之助像をつくってもらいたいと思っております」と激励の言葉を贈ります。松緑も、「私の祖父、父、私も演じていないような役を、彼はこれからどんどん演じていくと思います。そうして自分に栄養をつけていってほしいです。これまでの辰之助像にとらわれず、自由な辰之助像をつくっていってもらいたい。そうすることで初代とはまた違う色の辰之助ができると思います」と、エールを送りました。

 歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は、5月3日(日・祝)から27日(水)までの公演。チケットは4月14日(火)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売予定です。

2026/03/05