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獅童、菊之助が語る、歌舞伎座『あらしのよるに』
2024年12月3日(火)から始まる歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第一部『あらしのよるに』に出演の中村獅童と尾上菊之助が、公演に向けての思いを語りました。
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5度目となる再演
平成6(1994)年に発刊され、今年で30周年を迎える絵本「あらしのよるに」。その発刊30周年を記念して歌舞伎『あらしのよるに』が、今年の9月南座公演に続き、12月に歌舞伎座で上演されます。新作歌舞伎として平成27(2015)年に南座で初演された本作について、がぶを演じ続けてきた獅童は、「5度目の再演となります。今回は新たな配役として、私は狼の長である、がぶの父親役も勤めることになりました。また、私の倅の陽喜と夏幹も出演します」と、意気込みは十分。初めてめい役に挑むことになった菊之助は、「芯が強いながらも愛くるしく演じていきたい」と、笑顔で話します。
昨年3月に上演された『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』で久しぶりに共演をしたことをきっかけに、親交が深まったという二人。「めい役は、女性的な部分があるので、立役も女方もされる菊之助さんにお願いしたいと考えていた」という獅童が相談したところ、菊之助が快諾してくれたと明かします。その思いを受けて菊之助は「本来は、食うか食われるかの関係の二人がどのように仲良くなっていくのか。普段の獅童さんと自分の関係性も舞台に活かし、丁寧にお稽古で話し合いながらつくっていきたい」と、信頼関係をのぞかせます。
絵本と歌舞伎にある普遍性
本作のテーマについて、声をそろえて「自分らしく生きること」と語る二人。獅童は、「歌舞伎も絵本も普遍性があって、語り継がれていきます。人を思いやる気持ちや、自分を信じて自分らしく生きるということは、簡単なようで難しい。そんなテーマが自分の俳優としての人生観にも当てはまったりします。演じれば演じるほどこの作品のテーマが身に染みる」と、強いまなざしで語ります。菊之助も「自分らしく、自分の信念を持って生きることができれば、どんな壁も乗り越えられるかもしれないということを、この作品を通じて感じます」と、話しました。
みどころの一つとして獅童は、「この歌舞伎『あらしのよるに』は、普段なかなか理解するのが難しいと言われる義太夫も、絵本のなかの言葉で語るので、非常にわかりやすいと思います。義太夫が俳優の役柄の心情を語っていることを感じてもらえると思う」と話し、親子で観劇を楽しんでほしいと呼びかけます。自身の息子たちの様子について聞かれると「衣裳のひびのこづえさんからデザイン画が届くと、とても喜んでいました」と、笑みがこぼれます。
菊之助も「幅広い世代、そして世界中に愛されている絵本を獅童さんが歌舞伎にされて、この短い期間で5回繰り返し上演している背景には、やはりこの作品がもつテーマにあると思います。嵐の夜に二人が出会って、どう二人の共通点をみつけていくのかが、この作品の大事なところだと思っています」と、期待を膨らませました。
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歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は12月3日(火)から26日(木)までの公演。チケットは11月14日(木)から、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売中です。