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尾上右近、壱太郎が語る、歌舞伎座『二人椀久』

尾上右近、壱太郎が語る、歌舞伎座『二人椀久』

 

 2025年1月2日(木)から始まる歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部『二人椀久』に出演の尾上右近、中村壱太郎が、公演に向けての思いを語りました。

自主公演から6年以上

 「『二人椀久』は、自主公演『研の會』(平成30〈2018〉年)で壱太郎さんと演じさせていただきました。今回歌舞伎座のお正月公演で勤めさせていただけることがとてもうれしいです。私が役者の道を歩み出すルーツとなった、尾上流の舞踊の代表作といっても過言ではない作品ですので、二人なりの『二人椀久』をお届けして、観に来てよかったと思ってもらえるよう心して取りかかりたいと思います」と、右近が熱く抱負を掲げます。

 

 続けて壱太郎も、「私も『二人椀久』をいつか本公演でやりたいと思っていました。『研の會』のときからお互いの熱量が高く、これから先も一緒にいろいろな作品をつくっていきたいと思うきっかけにもなった舞踊です。そのときの思いも大事にしながら、松と月のみのシンプルな舞台で、どれだけ美しい世界をつくれるか極めていきたい」と、目標を述べました。

 

尾上右近、壱太郎が語る、歌舞伎座『二人椀久』

 

ともに舞台を届ける喜び

 取材会では、終始二人の仲の良さが伝わる空間が広がります。壱太郎は、「今年1月の『京鹿子娘道成寺』では同役を勤め、舞台上でまったく関わらなかったので、同じ作品に挑んでいるのに不思議な感覚でした。でもそのときから歌舞伎座で一緒に何かを踊りたいという思いが強くあったので、今回かなってうれしいです。自分がやってきたことを信じて勤めれば必ずいい作品ができるという気持ちも一つありますが、そのなかで、積み上げてきたものを一度崩すような、そのときの気持ちや感じ方で踊ることも歌舞伎の面白さだと思います。25日間楽しさと難しさを噛み締めながら、今のお客様に響く『二人椀久』をつくりたい」と、喜びとともに強い意志も見せます。

 

 右近も、「今の二人を残せる『二人椀久』になるのではないかと思っています。お互いに歌舞伎座でやらせていただく機会も増えるなか、“多くのことを背負いながらも楽しんでいる二人”として挑みたい気持ちが強いです。今回はただエネルギッシュなだけでなく引き算することにもチャレンジしながら、こだわりをもって令和に輝く『二人椀久』をお届けしたい」と、気合を込めました。

 

尾上右近、壱太郎が語る、歌舞伎座『二人椀久』

 

チーム一丸となって

 今回、自主公演「研の會」の際と同じ演奏家が並ぶという。「歌舞伎座にチームがついてきてくれることが大変ありがたく、自分一人ではできないことを自覚し、常に感謝の気持ちを忘れずにいます」と、右近は述べ、「そのうえで、無邪気さも忘れずに勤めたいです」と、笑顔で答えます。「僕らが無邪気にはしゃぐのをよいバランスで抑えてくれる振付の(尾上)菊之丞先生や、衣裳さん、床山さんもいて。舞台は二人だけではできないですし、感謝の気持ちが強いです」と、壱太郎も続けました。

 

 本公演では、昼の部で右近が『寿曽我対面』、壱太郎が『陰陽師』に、また夜の部では『二人椀久』に加え、両名ともに『大富豪同心』に出演します。興行全体への意気込みも見せながら、「皆様に1年の良いスタートをお切りいただきたいという思いを込めて、私たちの生命力あふれる『二人椀久』を歌舞伎座で精一杯勤めます」と右近が語り、続けて壱太郎が、「歌舞伎の踊りってこんなに感動するんだ、訴えかけるものがあるんだと思っていただける、とても美しい作品を見ていただけると思います。ぜひお正月は歌舞伎座にお越しください」と、にこやかに締めました。

  歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」は、1月2日(木)から26日(日)までの公演。チケットは12月14日(土)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売予定です。

2024/11/21