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壱太郎、右近が語る、南座『曽根崎心中物語』
2026年3月3日(火)から始まる南座「花形歌舞伎 特別公演」『曽根崎心中物語』に出演の中村壱太郎、尾上右近が、公演に向けての思いを語りました。
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『曽根崎心中』は近松門左衛門が元禄16(1703)年に実際に起きた事件を基に書き下ろした作品で、当時心中ブームを起こした傑作です。時代を超えた悲恋が、花形俳優のダブルキャストによりこの春、京都・南座で上演されます。
二人のもつ眩しさや美しさを
令和6(2024)年2月に『曽根崎心中』で共演している二人。和やかな雰囲気で始まった会見のなかで壱太郎は「まさか自分が徳兵衛をやるとは思っておらず、新鮮な思いです。今、『曽根崎心中』という演目はさまざまなところから注目されていると思います。今回の公演では、初めて歌舞伎をご覧になる方にもお楽しみいただけるよう、曽根崎心中“物語”という名前で、私の父(鴈治郎)が“物語”としての監修を行います。上演時間はコンパクトにしながら、より親しみやすい『曽根崎心中』になればと思っています」と、抱負を口にします。
右近も「壱太郎さんの徳兵衛を見たい、自分もお初をやってみたい気持ちがあり、それならダブルキャストでやってみてはどうかと考えました。壱太郎さんと同様に、まさか自分がお初をやる日が来るとは夢にも思いませんでしたので、すべてにチャレンジするつもりで取り組みます。お初と徳兵衛を描くにあたり、純粋な気持ちを持った二人の眩しさや美しさ、その若さあっての物語だということにより焦点が当てられるよう、ブラッシュアップして伝わりやすい展開を目指しています」と、喜びを滲ませて語ります。
新演出のなかの役づくり
「『曽根崎心中』は古典でありながら現行の演出と脚本は昭和28(1953)年にできたものなので、新作歌舞伎と言える作品で、私の祖父である(四世)坂田藤十郎が扇雀時代に大ブームとなった、成駒家にとって大切な演目です。今回ダブルキャストの試みで僕もまたお初という役を見つめ直したいと思っています」と、作品への思いを明かすのは壱太郎。「2024年に(右近と)二人で演じた時、同世代ならではということもあるのか、父と演じるのとはまた違う感覚を感じました。祖父がずっと大事にしてきた思いを大切にしつつ、向き合いたいです」。
続いて右近は「徳兵衛は前回、鴈治郎のお兄さんに教えていただきました。立役の多くはエネルギーを発散するものが多く、ぐっと気持ちを内包して、ストレスがかかるものは少ないんです。でもこの役は舞台でみんなにいじめられて、泣きながら去って、縁の下でじっとこらえて…こんな立役の役があるのか、というのが、最初の正直な感覚でした。今回はお初を壱太郎さんに教えていただき、また新たな(曽根崎心中)物語、新演出のなかに生きる役をつくり上げたいです」と、前回の上演も振り返りました。
テーマパークのような楽しさ
「この南座の三月公演は、年ごとに毎回メンバーも、人数も違いますが、今回はいかに二人で力を合わせるか、その力がどれだけのものなのか問われる公演だと思います。また今回も上方の俳優さんたちのご出演で、公演を一緒につくりたいです。今回は3回公演の日もあり、一ヵ月、合計44回の公演を駆け抜けていきます」と、壱太郎が力強く述べます。「今回のビジュアルのテーマは‟最接近”でした。こだわって撮影もしましたので、壱太郎さんのお芝居がどういう雰囲気なのか、右近の芝居がどういう感じか、また想像を膨らませていただいて、楽しみに観に来ていただけたらうれしいです」と、右近も熱意を見せます。
最後に公演全体について「毎年三月の公演のもう一つのみどころと思いますが、来場者特典や、グッズの販売などで、劇場全体をテーマパークのように盛り上げていきたいです」と、壱太郎が構想を明かすと、右近が「どこを切っても楽しめる公演になると思います。僕たち二人の“死ぬる覚悟”を見に、ぜひ南座にお越しください」と続け、力強く締めくくりました。
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南座「花形歌舞伎 特別公演」は、2026年3月3日(火)から25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。
