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『木挽町のあだ討ち』と『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』が大谷竹次郎賞受賞


2026年1月19日(月)、第54回令和7年度大谷竹次郎賞の授賞式で、『木挽町のあだ討ち』の齋藤雅文氏、『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)』の松岡亮氏に大谷竹次郎賞が贈呈され、『木挽町のあだ討ち』に主演した市川染五郎が祝福に駆けつけ、『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』に主演した尾上松也が祝福の言葉を送りました。
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松竹株式会社、公益財団法人松竹大谷図書館が贈る大谷竹次郎賞は、その年の1月から12月までの公演で「歌舞伎俳優によって上演された新作の歌舞伎および歌舞伎舞踊の脚本を対象とし、娯楽性に富んだ優れた歌舞伎脚本に贈る賞」です。令和7(2025)年は多くの新作歌舞伎が上演され、そのなかから2作品が令和7年度「大谷竹次郎賞」として選出されました。
令和4(2022)年度以来3年ぶりの受賞作となった今回の2作品について、水落潔選考委員より、「『木挽町の仇討ち』は、芝居町で起こった仇討をそれぞれの視点から語る原作の構成を、主人公の若侍の成長物語として歌舞伎劇に仕上げ、登場人物の人生を巧みなせりふで浮き彫りにしていた点が評価された。『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』は、実在の人物と名刀の運命を重ねた歴史劇として、登場人物一人一人が持つ背景を俳優の個性を生かして魅力的に描き、歌舞伎舞台化として成功をおさめた点が評価された」と、選考の経過が述べられました。
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▲ 齋藤雅文
4月歌舞伎座『木挽町のあだ討ち』の脚本を書いた齋藤氏は、「素晴らしいスタッフとキャストに恵まれ、本当に幸せ者です」と、感謝の言葉を述べます。「原作が小説として面白ければ面白いほど、実は戯曲にはなりにくいものです。そこで、舞台としての面白さをまずは追求しようと思い、小説の持っているミステリー性を追いすぎずに、バックステージものとして構成しました。森田座に集まる人々の生活と人情、そこに訪れた菊之助という仇討の青年、彼のもつ運命を一同が見守りながら、少年から堂々とした侍に成長する物語になると良いと思い、自身のこれまでの経験もすべてこの作品に書き込んでみることができたと思います」と、小説を舞台化する難しさやその過程を披露しました。
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▲ 松岡亮
7月新橋演舞場、8月博多座・南座『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』の脚本を書いた松岡氏は、「齋藤雅文さんは私の恩人の一人で、温かく見守ってくださっている大先輩です。今回同時受賞となり喜びを感じます」と、はじめに齋藤氏への感謝を伝えます。「人気のオンラインゲームが原案ですが、ゲーム自体のシナリオはなく、大きな世界観とそれぞれの刀剣男士の人物設定をもとに、自由に翻案できるところが魅力だと思います。権利元のニトロプラスさんからも、『刀剣乱舞』の世界を自由に歌舞伎で描いてくださいとお話を承りました。私自身の筆の力が試される作品になるなと思い、第一作目の制作時から非常に難しく思いながらも真摯に取り組んでまいりました。大変熱い稽古場に立ち合えたことも良い経験となりました」と、作品づくりの過程や思いを語りました。
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『木挽町の仇討ち』で主人公・菊之助を演じた染五郎。「齋藤先生には、私が初めて歌舞伎座で主演を勤めた『信康』という作品以来、本当にお世話になっています。祖父と父の代からご縁をいただいており、そのたびに、お客様に役の本当の心を届ける技を教えていただきました。まだまだではございますが、『木挽町のあだ討ち』という作品で、齋藤先生に教えていただいたことを一度、集大成として全部ぶつけたいという思いで挑戦させていただき、その作品で齋藤先生がご受賞されたこと、本当にうれしく思っております」と、齋藤氏とのこれまでの関係も踏まえ、感謝とお祝いの言葉を述べました。
『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』で主演・演出を勤めた松也からは、「松岡さんとは刀剣乱舞第一作目「月刀剣縁桐」、本作「東鏡雪魔縁」とつくり上げるために、共同演出の尾上菊之丞さんと三人で多くの時間を共有しました。刀剣乱舞はさまざまなエンタテインメントで作品化されておりますが、どの作品もオリジナルストーリーで構成されていて自由な点が私にとって大きな魅力でした。一方でゼロからつくることは決して容易ではなく、私にとって松岡さんは、生みの苦しみを一緒に味わいながら自分たちが追い求める作品をつくり出してくださった戦友であり同志です」と、ともに作品をつくり上げた感謝とお祝いの言葉が送られました。
