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歌舞伎『刀剣乱舞』が新橋演舞場で開幕

▲ 劇場入り口の特大看板と軒下看板にもご注目ください
2025年7月5日(土)、新橋演舞場で、歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)』が初日の幕を開けました。
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人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」を歌舞伎の作品として描く、歌舞伎『刀剣乱舞』。歴史上の名刀に宿る付喪神「刀剣男士」が歴史改変を狙う時間遡行軍を倒す設定や、観客を「審神者(さにわ)」と称するゲームプレイヤ―に見立てた世界観が特徴です。第二作目となる今回は、三代将軍源実朝が鶴岡八幡宮で甥の公暁に暗殺された鎌倉時代を舞台に物語が展開されます。劇場内では、開演前から時間遡行軍があちこちに姿を見せ、雰囲気を盛り上げます。
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戦乱や権力争いに巻き込まれ苦しむ民の権力者たちへの恨み、そして異界の翁と嫗の刀剣男士への恨みの念に応えて姿を現したのは、千年檜の精霊・羅刹微塵(松也)。審神者は、三日月宗近(松也)、髭切(莟玉)、膝丸(吉太朗)、加州清光(左近)、陸奥守吉行(歌昇)、鬼丸国綱(獅童)を、羅刹微塵と時間遡行軍が向かった鎌倉時代へ送ります。「いざ出陣」のひと言とともに、各々の見得が極まり、テーマソングが勢いよく流れだすと、客席からは早速熱い拍手が沸き起こりました。
北條政子(雪之丞)、実朝御台倩子姫(左近)、公暁(鷹之資)や、三浦義村(精四郎)らを狙い襲ってくる時間遡行軍や羅刹微塵と戦う刀剣男士たち。朝廷の権威を利用し、北條義時や大江入道(桂三)ら重臣を抑え、鎌倉幕府を我が物にしようと狙う源仲章も不穏な動きを見せています。一方、自らの元の持ち主であった実朝に、政治よりも和歌に傾倒する真意を尋ねに行く膝丸と、それを見守る兄・髭切。膝丸の言葉から、待ち受ける悲劇の運命を知りながら、鶴岡八幡宮へ向かう実朝と見送る倩子姫の姿は、観る者の胸に迫ります。
雪が降りしきる鶴岡八幡宮。舞台中央の大階段で、実朝を巡って繰り広げられる衝撃の展開に、客席は思わず息を呑んで見入ります。羅刹微塵や時間遡行軍との最終対決では、後方支援にあたっていた小烏丸(雪之丞)と同田貫正国(鷹之資)も加わり、舞台や客席を使った息もつかせぬ立廻りが場内を圧倒しました。
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使命を果たし、歌舞伎本丸へ戻った刀剣男士たちが宴を催すという趣向で始まった大喜利所作事『舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)』。亡き人々の御魂を鎮める三番叟をはじめ、春夏秋冬に合わせた舞を刀剣男士が次々に披露していきます。歌舞伎舞踊らしい衣裳や浴衣に身を包んだ姿、ゲームで用いられる背景を連想させる、四季を描いた美しい大道具、獅子たちの勇壮な毛振りなど、みどころが尽きない舞台が観客を魅了します。締めくくりに八振りの刀剣男士が、各々の紋が入った扇子を掲げ、桜の花びらが散るなかでめでたく舞い納めると、鳴りやまぬ拍手が新橋演舞場を包みました。
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