歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



TEPCO くらしの今と昔

和ろうそく

【和ろうそく】
ハゼの実などの木蝋を使う和ろうそくは、西洋キャンドルに比べて火が大きくまた揺れも独特。天然素材の良さから近年人気が高まっています。

  和ろうそく
屏風  

【屏風】
屏風は、古くから部屋を仕切り、飾るものであると同時に、大きな面で光を受けるという役割も担ってきました。採光の具合で絵の見え方が変化するものも。

     
  「だんまり」の闇

 歌舞伎でも、行灯は夜の場面で頻繁に登場するアイテムです。役者が行灯を吹き消す動作をしても、実際の舞台の照明は変わりませんが、続く演技は暗闇の中でのものとなります。

 歌舞伎で「だんまり」といえば、何人もが闇の中で物が見えない動作をすることです。たとえば行灯が消えたなら、役者は宝物を手探りしあったり、互いに相手の動きをうかがったりしながら、ゆっくりとパントマイムのような動きをします。これは、あかりがない宵闇の中では慎重に動くしかないという実際の体験が元になった様式です。

 私たちにとってはほんのわずかなあかりでも、行灯は江戸の人々にとってはなくてはならないものだったことがわかります。

 少しでもあかりを採りたいという思いは、屏風という道具にも表れています。屏風には、間仕切りや防風のほかに、部屋の中のあかりを反射して広げるという役割もあったのです。

 歌舞伎の舞台でもよくお目見えする金屏風なら、周囲を明るくする効果はより高まります。写真などの撮影に使うレフレクターと同じ原理を、江戸の人々も活用していたのです。

 

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