歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』ってなあに?
歌舞伎の代表的なお姫様の一人、八重垣姫(やえがきひめ)が登場するお話です。
もとは、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)という、三味線(しゃみせん)の音楽にのせて大夫(たゆう)が語るお話にあわせて人形つかいが人形をあやつる人形劇です。とても人気があったお話で、歌舞伎としても上演されました。
どんなストーリー?

時は戦国時代。長尾家は武田家の家宝の兜(かぶと)を借りたまま返さないので、両家は争っています。八重垣姫は長尾家のお姫様。両家が仲直りするようにと、武田家の長男、勝頼(かつより)と婚約しました。ところが、その後さまざまな事件がおこり、兜は武田家にまだ返されていません。勝頼は兜をとりもどそうと、別の人物に変装して長尾家にもぐりこみましたが、八重垣姫の父、長尾謙信(ながおけんしん)は勝頼の正体を見やぶっています。そして、謙信は勝頼を遠くに使いに出して、途中で追手に殺させようとします。その計画に気付いた八重垣姫は、恋しい勝頼に危険を伝えようと、兜を手に持ち、その霊力を借りて、勝頼の後を追います。

 

恋人に危険が迫っていることに気付いた八重垣姫が、切々とした想いを込めて語るせりふです。このせりふの後、姫は武田家の家宝の兜に力を借りようと、兜を手に取ります。兜には諏訪神社の神の遣いである狐の霊力が乗り移っていました。姫は狐に導かれて、一面凍った諏訪湖の上を一気に走って、勝頼のもとへと飛んでいきます。大切に育てられた品の良いお姫さまの八重垣姫。そのおとなしいお姫様が恋をするととても大胆な行動にでる、そこがこのお話のひとつの見るどころです。

 
出演者のご紹介
二代目 市川亀治郎 (いちかわかめじろう)
屋号は澤瀉屋(おもだかや)。市川段四郎の長男。伯父に市川猿之助、祖母に女優の高杉早苗、俳優の香川照之は従兄弟にあたる。慶應義塾大学文学部卒業。55年7月歌舞伎座『義経千本桜』の安徳帝で初お目見得。58年7月歌舞伎座『御目見得太功記』の禿(かむろ)たよりで二代目市川亀治郎を名のり初舞台。2002年には自身の勉強会「亀治郎の会」を立ち上げる。 2010年は、新春から4月まで若手花形俳優による座組みの清新な歌舞伎公演に出演。立役(たちやく)から女方(おんながた)まで、さまざまな大役に積極的に挑戦し、新鮮な魅力を見せている。
2010年 市川亀治郎さんの歌舞伎出演情報
2010年1月 新春浅草歌舞伎
2010年2月 博多座 二月花形歌舞伎
2010年3月 京都四條南座 三月花形歌舞伎
2010年4月 第二十六回四国こんぴら歌舞伎大芝居