【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
こころを映す 歌舞伎の舞台
角切銀杏(すみきりいちょう)は中村座のシンボル。江戸時代の錦絵にもよく見られるお馴染みの櫓紋だ。 |
玄関で靴を脱ぎ裸足で床や階段の木の感触を味わいながら中へ。場内を照らすのは芝居小屋の空気を壊さない柔らかな照明 |
「芝居小屋」の風情を味わう
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まず、外観で目を引くのが正面入口の中村座の座紋を染め抜いた櫓と絵看板。そして中に入って客席内へ進むと、目に飛び込んでくるのが、柿色、黒、白の三色の中村座の定式幕と天井から下がった大きな提灯です。舞台前の平場席にも後方の椅子席にも揃いの座布団が整然と並び、近代的な劇場とは異なる柔らかな照明が「芝居小屋」の風情を引き立てます。
“風情”といえば、この大阪平成中村座ならではの情趣を感じる舞台演出があります。それは、大阪城を背後にいただくこの立地でしか成しえない、舞台後方を全開して大阪城や庭園の緑を借景とする演出。開いた瞬間、思わず声をあげてしまうほどの美しい光景が眼前に広がります。
そして、平成中村座ではおなじみの舞台上の2階にある桜席。定式幕の内側に位置しているので、開幕前や幕間の舞台裏が見物可能です。幕が閉まった後で桜席の観客に向かって手を振ったり、笑顔を投げかけてくれたりする俳優さんもおられるとか。こんな機会はめったにありません。心踊るステキな体験となるでしょう。
平成 劇場獨案内
バックナンバー
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大阪松竹座
7月に大歌舞伎が上演される道頓堀の大阪松竹座。大正12年竣工の初代の建物は近代建築史上に残る名建築と言われ、道頓堀のシンボルとして親しまれていました。
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博多座
6月に大歌舞伎が上演される博多座を取材。福岡空港、JR博多駅から地下鉄で直通の中洲川端駅に直結。遠方からのアクセスも快適、大変恵まれた立地です。
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Bunkamuraシアターコクーン
今回は、6月の『渋谷・コクーン 歌舞伎第十二弾 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』の後、7月から半年、改修のための長期の休業に入るBunkamuraのシアターコクーンを取材しました。
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旧金毘羅大芝居(金丸座)
国の重要文化財に指定された、現存する最古の芝居小屋旧金毘羅大芝居(金丸座)。歌舞伎界の春の風物詩「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は4月9日(土)に初日を迎えます。
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京都四條南座
歌舞伎発祥の地といわれる京の、四条河原付近に芝居街が誕生したのは元和年間(1615~1623年)。その元和以来の大変由緒ある劇場、南座の魅力をご紹介します。
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初春を祝い賑わう 浅草公会堂
「新春浅草歌舞伎」が上演される浅草公会堂を取材しました。「新春浅草歌舞伎」はお正月の浅草の風物詩。浅草の人々の心意気に支えられ、育まれ、年を重ねてきました。
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日生劇場
今回は「十二月大歌舞伎」が上演される日生劇場。立地は皇居にほど近く、日比谷通りに面した一等地。著名な建築家である村野藤吾設計の建物は学術的にも貴重なものです。観劇の際にはぜひ劇場にもご注目ください。
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大阪平成中村座
新連載の第1回は2010年10月、11月に大阪城西の丸庭園内に出現した仮設劇場、大阪平成中村座を取材。舞台後方を上演中に開けて大阪城や庭園の緑を借景とする演出が大きな話題を呼んでいます。