【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
こころを映す 歌舞伎の舞台
開場後間もなくの劇場内の様子。2階正面中央のお大尽席は前に遮るものがなくとても観やすいまさに特等席。 |
錦織の座椅子と脇息、いかにも座りごこちのよさそうなふかふかの座布団が用意されたお大尽席。 |
至れり尽くせりのお大尽席
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さて、この“劇場案内係”ですが、平成中村座では彼らのことを江戸の芝居小屋風にお茶子さんと呼びます。取材をした日、茶色の作務衣を着たお茶子さんが、場内のあちこちで手際よく誘導や案内をしていました。彼らのほとんどが今公演のために採用された現地在住のスタッフですが、なかには「あ、あの人は以前」と“見覚えのある顔”も…。
今ではスタッフの採用面接や採用後のトレーニングも行っている、リーダーの木村計美(かずみ)さんは、1989年の浅草公会堂で行われた新春浅草歌舞伎からお茶子さんを務めています。浅草寺の近くに住む部類の祭好きで、そのとき上演されていた『三社祭』に惹かれて応募。やがて劇場という非日常的な空間で、おもてなしをする楽しさの虜に…。平成中村座については浅草隅田公園の立ち上げから関わり、名古屋、大阪にも馳せ参じたそうです。
平成中村座のお茶子さんが着ている、茶色の揃いの作務衣はいつも変わらないが、衿は演目に因んだ色にするなどの工夫も施している。首から提げた木の名札は、毎回、開催地の業者さんに発注。そして、左の写真、髪を飾るお茶子さんお揃いの組紐は、中村座の定式幕を表現。ひもの中に「黒」が入っていないのは、「黒」は髪の毛の色だから。数々のこだわりはそのまま細やかなおもてなしの心に通じる。「もちろん、俳優さんに掛けたい言葉だとは思いますが、芝居が終わってからお客様は真っ先に私たちに『よかったわあ』と声を掛けてくださいます。サービスを提供する者として、こんな光栄で嬉しいことはありません」 ≪木村計美さん(写真)談≫ |
平成 劇場獨案内
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