歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



お茶子さんが名づけた「霞番」とは?

 平成中村座のお茶子さんたちは、トイレを待つ列の誘導係のことを「霞番(かすみばん)」と呼んでいます。「トイレで流す→消えてしまう。霞も消えてしまうもの」という発想から名づけたそうで、きれいな名前をつけて気分よく仕事をしよう、という心意気が感じられる命名です。

 どこの劇場も同じですが、幕間に女子トイレはとても混雑します。また、平成中村座は“仮設劇場”なので、「トイレが整備されていないのでは」と懸念される方がいるかもしれません。実際、平成中村座の女子トイレは、幕間にはかなりの長蛇の列になります。ところがあれよあれよという間に列は前にどんどん進みます。それは要領を得た誘導係のおかげ。「次の方は一番にお進みください、そして次の方はあちらの四番までお進みください」と5つずつ4箇所に分かれて設置されたトイレ(すべて洋式)にテキパキと効率よく誘導してくれるのです。また、「霞番」は実にトークが巧みで、列に並ぶ人たちを楽しい話や冗談で和ませてくれるので、待ち時間を長く感じないのかもしれません。

平成 劇場獨案内

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