歌舞伎いろは

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元興寺(国宝。奈良市)

浅草寺の新しいチタン瓦(奥)と年月を経た銅板瓦(手前)

浅草寺の新素材瓦の100年後は?

 浅草寺の屋根瓦がチタン製瓦に葺き替えられたと聞き、早速出かけてみました。瓦がはじめて日本に伝えられたのは奈良の飛鳥地方に588年に起工された飛鳥寺建立の時だと云われています。この時の瓦は、飛鳥寺から移築されて建てられた元興寺(奈良市中院町)に今も数千枚使用されており、1400年以上も昔の瓦を今も見ることが出来ます。

 その後、法隆寺などの仏教建築物に瓦は欠かせないものとして使用され続けてきました。しかしながら、土を焼いて作られた瓦は長い年月の風雪を経ることにより劣化するものがあり、多くの寺院では50年~100年ぐらいの周期で葺き替えを行い、劣化した瓦を新しい瓦に置き換えながら使用しています。浅草寺における今回の葺き替えは、土を焼いて作られた瓦ではなく、耐震性向上を目的とした軽量化のためへのチタン瓦への転換であり、1000年以上ある歴史を変える画期的な取り組みだと思っています。

 そんな画期的な取り組みを実際に見て、遠目から見る限りやきものの瓦となんら見え方が変わらないと感じました。発表によるとやきものの瓦独特の色合いを再現するために3色の色合を作ったそうです。新素材開発技術のこだわりと凄さを感じるとともに、この新素材は今後どんな変化をしていくのだろうか、とも感じました。土を焼いたやきものは年月を経ることによる変化が生じます。この変化は色変化であったり、損傷であったりしますが、この年月の重みに耐えてきた風格が多くの人々に「味わい」や「渋み」として感じとられていることも事実です。やきもの瓦と共に古くから寺社仏閣の屋根に使用されてきた銅版瓦もまたその年月を経ることにより銅赤色から緑青色への変化が美しいものです。今後、この新しい素材がどのような変化をしていくのかがとても楽しみでしかたありません。INAXの新素材開発においても経年変化によるエイジングの効果は、とても重要な開発要素です。100年後の浅草寺を見てみたいものです。

INAXライブミュージアム ミュージアム活動推進室 室長
後藤泰男

平成 劇場獨案内

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