歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



イタリアのカッシーナ社製の、高品質のなめし皮を使ったチェアが置かれた1階西側ロビー。

「木」にこだわり続けた日本有数の木製家具で有名な山形県の製品が配置された2階東側ロビー。

鴨川のほとり、四条通の情趣ある食(しょく)どころ

鴨川の対岸に見える異国情緒が漂うレトロな建物は、北京料理 東華菜館。

四条通にある、享保年間(1716~1736年)創業の菓子処の鍵善(かぎぜん)。

四条通から見た花見小路。左の建物が『忠臣蔵』に縁ある祇園のお茶屋一力亭。

 南座も歌舞伎座や新橋演舞場、大阪松竹座と同じように、客席でお弁当を食べることができますが、広々としたロビーで、ゆったり座ってお食事するのもいいもの。1階と2階の東側ロビーには売店もあります。顔見世によくいらっしゃる方にお馴染みの竹馬は、1階東ロビーに毎年飾られています。顔見世といえば、四条通にある喫茶・お菓子処の鍵善(かぎぜん)では、毎年顔見世の時期には、歌舞伎俳優が描いた絵や書などが店内に飾られるとか。顔見世は街をあげて賑わう京都の年の瀬の大きなイベントなのです。

 南座の館内には南座花萬というお店が入っており、2階東から直接入店ができ、季節の懐石料理などを、爽快な鴨川ビューのお席でいただくことができます。そして、南座正面入り口横にあるのは、にしんそば発祥の店として有名な「総本家にしんそば松葉」。幕間にいただくおそばを予約することもできます。

 江戸時代には、南座がある四条を含む、三条から五条にかけての鴨川東地区が遊所としての賑わいを見せ、東海道の起点となる三条大橋東詰や五条橋東詰にはたくさんの旅籠屋があったそうです。南座の三月花形歌舞伎『猿之助四十八撰の内 獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』は、まさにこの三条大橋から出発する、ということで、南座ならではの趣向が楽しみです。
川端通り沿いに専用の入口があり、直に店内に入れる「南座花萬」。エントランスから2階へと続く階段を上りきると、目をひくのが“鴨川ビュー”の大きな窓。夜には鴨川に京の町家や料亭の明かりが浮かび、一段と美しい夜景も堪能できる。店内は日本の伝統的な技法・組子細工をふんだんにあしらったモダンなインテリアになっていて、シックかつモダンな印象。南座のイメージにしっくり馴染んでいる。
写真の料理は「縁高(ふちだか)弁当(3150円)」の一例。野菜をふんだんに取り入れ、見た目の美しさにもこだわった、特に女性に喜んでもらえる料理。
 

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