歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



①Bunkamura正面(南口)エントランス。
②このずっと奥にあるドアの向こうに、インフォメーションカウンターがある

①1階のシアターコクーン前の吹き抜け。
②歌舞伎公演のある時はここに俳優名の入った幟が立つことも。(松竹株式会社(C))

渋谷に「コクーン歌舞伎」あり!

Bunkamura1階のシアターコクーン入り口。

①シアターコクーンの1階ホワイエ。
②コクーン歌舞伎の時は歌舞伎に関連したグッズや食べ物の売り場が出て、雰囲気は一変する。(松竹株式会社(C))

①2階廊下。カーブを描く壁面が特徴的
②絨毯にはシアターコクーンのシンボルの緑のマル。

上の写真は東急百貨店渋谷・本店。Bunkamuraはこの建物に隣接していて、地下駐車場、B1、1F、2F、8Fに連絡通路があり、劇場などの施設と行き来できるようになっている。百貨店建物正面の上に掲げてあるのはBunkmuraの看板。赤い四角はオーチャードホール、緑の丸はシアターコクーン、青いひし形はル・シネマ、黄色い三角はザ・ミュージアムという施設のテーマカラーのマークとお馴染みのロゴが描かれている。

 「若者の街、渋谷に江戸の歌舞伎を」
と、平成6年(1994年)から渋谷Bunkamuraシアターコクーンを舞台に始まった歌舞伎公演。熱い舞台とさまざまな新しい試みにより、ファンを惹きつけてやまないこの公演は「コクーン歌舞伎」と名付けられ、今年6月の公演で12回目を迎えます。

 「渋谷で歌舞伎」といえば、今から56年前、ちょうど勘三郎さんが生まれた昭和30年(1955年)、渋谷の東横ホールで、菊五郎劇団の若手俳優が旗揚げ。以来11年間、ここでの歌舞伎公演は渋谷の名物として定着していました(※)。
 東横ホールでの公演は「若手俳優が大役に挑み、勉強する」「将来も歌舞伎を支えていく若い観客層の開拓」という役割も担っていましたが、これは現代の「コクーン歌舞伎」にも通じるもの。渋谷という街は今も昔も、歌舞伎を、俳優を、そして歌舞伎ファンを惹きつける吸引力を持った街なのかもしれません。

 シアターコクーンがある大型複合文化施設Bunkamuraは、「和」や「江戸」の香り、雰囲気とは無縁。近代的で洗練されたお洒落な空間ですが、コクーン歌舞伎が上演される時は、1階劇場前に役者名の入った幟が立つこともあり、劇場内ホワイエには歌舞伎関連グッズの売店ができ、他の公演では禁止されている客席場内での飲食も解禁! 歌舞伎ファンにとって居心地のよい、そして、期待に胸膨らむ熱い空間となるのです。

※渋谷駅に直結している現東急百貨店東横店西館の9・10階部分には、昭和29年(1954年)から昭和60年(1985年)まで大劇場「東横ホール」(のちに「東横劇場」と改称)があった。東横ホールでの菊五郎劇団の歌舞伎公演で活躍したのが三世河原崎権十郎。東横ホールで十一世市川團十郎の当たり役を演じて、"渋谷の海老さま"と言われた。

平成 劇場獨案内

バックナンバー