歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



①博多座正面入り口には提灯。とても重厚感があり、立派な建物だ。
②ビルの正面に飾られた博多座の赤いフラッグが目を引く。

①2階のエントランスホール。ホテルオークラが運営しているオークラ ラウンジは観劇以外の一般の方も利用できる。
②床は豪華な中国産の大理石。アンモナイトの化石も。

歌舞伎を上演できることが大前提で建築

博多川の「船乗り込み」の終着点となる船着場。ここで下船して俳優さんたちは鏡天満宮へ。

鏡天満宮(写真左部)に参拝後、博多リバレイン フェスタ・スクエア(写真右部)で式典が行われる。

建物1階、入り口右奥のピロティに吊るされている、中国人作家ツァイ・ゴーチャン(蔡國強)作の「龍船」。

 博多座が開場したのは平成11年(1999年)6月。福岡市主導による再開発によって開業した大型複合商業施設「博多リバレイン(※1)」のイーストサイトに誕生しました。地下鉄空港線で福岡空港から4駅、JR博多駅から2駅の中洲川端駅に直結。遠方からのアクセスも快適で、大変恵まれた立地になっています。

 博多座は、博多の演劇文化の発展のため、また福岡市がアジアとの交流に力を入れていることから、日本の伝統芸能を代表する歌舞伎が本格的に上演できる劇場であることが大前提で建てられました。重厚感のある佇まい、博多祇園山笠で山笠を舁(か)くときの必需品の舁き縄(かきなわ)をモチーフにした劇場のロゴ、建物入り口に掛かった大きな提灯、さらに劇場内の内装は「和」テイストの設え。歌舞伎がとてもよく"似合う"劇場です。

 博多座を特徴づけているのは立地・建物だけではありません。経済界と福岡市、そして松竹や東宝などの興行5社が一体となった株式会社博多座の運営方法は、日本で初めてのものでした。歌舞伎、ミュージカル、芝居などの演目が、ひと月単位の常打ちで興行され、2月(※2)と6月の歌舞伎公演、8月の宝塚公演は定番となっています。

 平成11年6月の「博多座開場記念 柿葺落大歌舞伎」以来行われている"船乗り込み"は、6月の歌舞伎公演の恒例行事、今年は5月29日(日)に行われます。博多の初夏の風物詩となった"船乗り込み"を見ようと、今年も博多川河岸は大勢のファンで賑わうことでしょう。

※1:「博多リバレイン」は、リバーサイトとホテルサイトで構成される再開発と、イーストサイトと呼ばれる再開発の総称。
※2:平成21年2月は、歌舞伎公演は行われず、10月に「博多座開場10周年記念 錦秋花形歌舞伎」が上演された。この年の1月から3月はミュージカル『ミス・サイゴン』を、オリジナル演出版で上演。サイゴン陥落のシーンで実物大のヘリコプターが登場する大掛かりな演出が可能な劇場は限られており、大きな話題を呼んだ。

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