【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
こころを映す 歌舞伎の舞台
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①撮影したのが5月なので花道はなく座席数は1,474席。6月の歌舞伎公演の際には花道があるので1,402席になる。②は2階席から撮影した舞台。 |
空間を贅沢に使ったエレガントな内装。客席1階と2階をつなぐ、両翼を広げたような階段が、優雅な曲線を描いている。 |
劇場のそこかしこで感じられるゆとり
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① 1階のLBエリアの席(A席)。一段高く、中央に向いているので視界が開けていて見やすい。 |
女性用トイレは男性用より数が多く、パウダールームも広々、ゆったり。美術品も飾ってあって格調高い設えになっている。 |
快適な背もたれの高いソファが置かれた、客席3階の廊下。上の格子天井から外光を採り入れる、明るく爽快な空間演出がなされている。 |
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上右に掲載した階段の写真の中央、客席1階ロビーにある 『勧進帳』の弁慶、富樫、義経が乗った"飾り山笠"の模型。六分の一の大きさで精巧に作られている。ご当地を代表する祭りに因んだ博多らしい装飾である。 |
そして、1階席前方の3列目までの客席を移動してオーケストラピットをつくることもでき、プロセニアムの高さも調節できるので、ミュージカルをはじめとするさまざまな演劇、公演が可能となっています。
最大客席数1500席という収容力、幅広い対応ができる舞台機構、照明、音響施設も整った博多座は高い評価を受けていますが、俳優さんのインタビューなどでもよく耳にするのが、楽屋とリハーサル室の良さです。
個室がずらっと並んだ楽屋の廊下は、舞台の下手へも上手へも直接繋がっており、幅も広いので、歌舞伎の重量級の拵えやミュージカルなどのフワッと広がったドレスでも行き来がしやすくなっています。楽屋から浴室へもエレベーターを使ってスムーズに快適に行けます。
そして、リハーサル室はとても広く、床にはセリや廻り舞台などの位置がテープで示されており、舞台とほぼ同じスペースを確保して稽古ができるようになっています。
劇場内には窓の大きな明るいレストランやカフェ(次のページ参照)も備わり、各階のロビー、廊下にはゆったり寛げるソファが置かれています。トイレの数が多く、洗面所のスペースも広くて内装がエレガント…。博多座は西日本の演劇文化の発展を担う劇場と呼ぶにふさわしい、観客はもちろん、出演する俳優さんも心地よい、ゆとりにあふれた劇場です。
平成 劇場獨案内
バックナンバー
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大阪松竹座
7月に大歌舞伎が上演される道頓堀の大阪松竹座。大正12年竣工の初代の建物は近代建築史上に残る名建築と言われ、道頓堀のシンボルとして親しまれていました。
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博多座
6月に大歌舞伎が上演される博多座を取材。福岡空港、JR博多駅から地下鉄で直通の中洲川端駅に直結。遠方からのアクセスも快適、大変恵まれた立地です。
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Bunkamuraシアターコクーン
今回は、6月の『渋谷・コクーン 歌舞伎第十二弾 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』の後、7月から半年、改修のための長期の休業に入るBunkamuraのシアターコクーンを取材しました。
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旧金毘羅大芝居(金丸座)
国の重要文化財に指定された、現存する最古の芝居小屋旧金毘羅大芝居(金丸座)。歌舞伎界の春の風物詩「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は4月9日(土)に初日を迎えます。
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京都四條南座
歌舞伎発祥の地といわれる京の、四条河原付近に芝居街が誕生したのは元和年間(1615~1623年)。その元和以来の大変由緒ある劇場、南座の魅力をご紹介します。
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初春を祝い賑わう 浅草公会堂
「新春浅草歌舞伎」が上演される浅草公会堂を取材しました。「新春浅草歌舞伎」はお正月の浅草の風物詩。浅草の人々の心意気に支えられ、育まれ、年を重ねてきました。
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日生劇場
今回は「十二月大歌舞伎」が上演される日生劇場。立地は皇居にほど近く、日比谷通りに面した一等地。著名な建築家である村野藤吾設計の建物は学術的にも貴重なものです。観劇の際にはぜひ劇場にもご注目ください。
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大阪平成中村座
新連載の第1回は2010年10月、11月に大阪城西の丸庭園内に出現した仮設劇場、大阪平成中村座を取材。舞台後方を上演中に開けて大阪城や庭園の緑を借景とする演出が大きな話題を呼んでいます。