歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



大きな牡丹の花柄の絨毯と黄金色の格子天井。昭和57年新築時の、豪華で斬新なデザインの1階正面ロビー。

平成4年の改修後の1階正面ロビー。草月流の飾花の上には、新橋演舞場の座紋「雪月花」をそれぞれ表現した陶板3枚も。

改修を経て見られなくなった懐かしい劇場内の風景

昭和57年新築時の地下1階には喫茶室(左)が、3階には「そば処」、おでん茶めしの「かっぱや」、甘味処の菊廼舎(きくのや)などのお好み食堂があった(右写真)。

平成4年の改築後の2階食堂。現在は間仕切りがされて、左がお食事処「雪月花」、右がそば・軽食・喫茶の「かべす」になっている。

新装直後の楽屋。畳も青々している。

上左:床の間があるB1~2Fの1、2号室
上: B2~2Fの3、5号室
左:3Fの楽屋兼稽古場

 昭和57年に新築された新橋演舞場は、オフィスビルとの共同ビルになりましたが、白い高層ビルの前に一部迫り出した劇場部分には褐色の化粧レンガが貼られ、建替え前の「赤レンガの劇場」の佇まいを継承。客席内部は舞台と客席の間合いのよさに定評があった旧演舞場に近い寸法に再現し、オーケストラピットや仮花道の備えが新たに加えられました。奥行が広げられた舞台では廻り舞台も広くなって大迫りが可能となり、大小九基の迫りが自在に活用できるなど、コンピューター制御の最新技術を導入した舞台機構は大変充実したものでした。

 新装開場後も、規模は大小いろいろですが、改修が行われてきました。特に大きな改修となったのが、新装開場十周年を控えた平成4年(1992年)12月。劇場正面に身障者用スロープを新設、正面玄関の床を壁と同じ花崗岩にし、開場以来親しまれてきた大きな牡丹の柄の絨毯(上左写真)を四季扇面図の絨毯(上右写真)に敷き変えました。平成7年(1995年)には、阪神淡路大震災の教訓に基づき、客席の光天井を網入れガラスに取り換え、さらにその上にガラス飛散防止フィルムを貼るなど安全面の充実も図っています。

 さらに平成17年(2005年)に大がかりなリニューアルを行い、1階から2階へエスカレーターを新設し、地下食堂は、洗練された空間「ラウンジ東(あずま)」となって新装オープン。さらに地下1階の喫茶室があったところに女性用レストルームが増設され、幕間の女性用トイレの混雑が緩和されました。

 地下の喫茶室には、建替え前に劇場正面の外壁を飾っていた装飾のテラコッタの一枚が展示されていました。このテラコッタは現在劇場内で見ることはできませんが、北海道の木工所が作成した、テラコッタをモチーフにした木製の装飾壁は、新橋演舞場の玄関正面、受付の背後に見ることができます(次のページ参照)。

 現在の新橋演舞場についてのご紹介は次回になります。来月も引き続き『平成 劇場獨(ひとり)案内』をご覧ください。

平成 劇場獨案内

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