歌舞伎いろは

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舞台上のさまざまな迫り上げ、迫り下げ装置によって、多彩で豪華な演出が可能となる。

新橋演舞場の客席数は1428席。現在歌舞伎公演では、桟敷席、1等A・B、2等A・B、3階A・Bと、きめ細かく7つの等級に分かれている。

オリジナルな空間を生み出す舞台機構

花道の突き当たりの鳥屋(とや)にかかる揚幕(あげまく)には、新橋演舞場の座紋「雪月花」。

新橋演舞場(平成23年8月現在)に掛かっている緞帳は4枚。写真は「波涛扇面散」(原画・加山又造 キッコーマン株式会社提供 川島織物製織)。

5月「團菊祭」に、大阪松竹座でお客様を迎えた九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の胸像は、今は演舞場2階ロビーに飾られている。

1階から2階へのエスカレーターは、平成17年の大規模なリニューアルの時に設置された。

 昭和57年(1982年)に建替えられた建物には、花道、上手竹本床、下手お囃子部屋など、歌舞伎を上演する劇場としての伝統的な舞台装置の骨格が正しく残され、さらに現代劇やミュージカルなどあらゆるバリエーションにも対応できるようにつくられています。廻り舞台や、迫り上げ装置、吊り物昇降装置の組み合わせで、廻転、昇降の2種類の移動舞台を自由に展開、連動でき、さまざまな変化を演出することができます。

 迫り上げ装置としては、9つの迫りがあり、花道にはスッポンがあります。上手下手方向に四分割された迫り(上左写真内①)、奥行方向に二分割された迫り(上左写真内②)など、9つの迫りを組み合わせ、さまざまな舞台空間を創出。迫りは道具を載せて奈落へ沈下するだけでなく、舞台上六尺(約1.8m)の高さまで迫り上げられるので、屋体や土手などの台としても使用できます。例えば上左写真内②は、迫り上げればそのまま邦楽の山台、ショーバンド台としても使えます。さらに階段状の舞台構成も可能にします。

 新橋演舞場の舞台装置は、このように斬新な演出や舞台転換に応えてくれるものです。壮大なストーリーとスペクタクル満載な舞台、市川猿之助さんが主演したスーパー歌舞伎9作(※)の初演はいずれも新橋演舞場でした。平成20年(2008年)4月に3年ぶりに上演された『ヤマトタケル』では歌舞伎の古典作品とは異なり、ドロップという背景が描かれた布製の幕が多用され、何枚ものドロップを吊るすために、吊り物昇降装置の多数のバトンが活躍しました。

※「猿之助四十八撰」の「新作・スーパー歌舞伎十番」には、市川猿之助が主演、初演したスーパー歌舞伎9作に加えて、平成20年(2008年)8月にル テアトル銀座で二十一世紀歌舞伎組によって初演された『新・水滸伝』が含まれています。

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