黒骨銀地に秋草

黒骨銀地に秋草

 女郎花、桔梗など、ももくさの花、そして肌を冷やす秋風をも封じ込めた野辺風景の舞扇です。中央に描かれているのは、桔梗。端正な花姿が好まれて、古くから家紋の図案に採り入れられてきました。歌舞伎で桔梗紋といえば、明智光秀を脚色した『時今也桔梗旗揚』。明智家を暗喩した武智家の紋・桔梗紋が発端となり、話が展開していきます。

演目:決まりなし
タイプ:中啓
memo:桔梗の花期は、晩夏から初秋。京都御苑東にある紫式部のゆかりの寺・廬山寺は、桔梗の名所として有名。

文・田村民子 / 写真・諸角潤 / 協力・藤浪小道具株式会社