黒骨銀地に朝顔

黒骨銀地に朝顔

 閉じた姿はすっきりと、するりと開けば美しい意匠を表出させる扇。用と美を兼備した、この雅な道具は、平安時代に日本で生まれ、中国そして西欧に広まったと伝えられています。
 今回ご紹介するのは、その原初の形を色濃くとどめた扇のひとつ。骨を数えてみると、一般よりも少なく六本。それに由来して、六骨(ろっこつ)と呼び慣らわされています。

演目:決まりなし
タイプ:六骨
memo:歌舞伎では、舞扇や中啓が主流だが、この古式ゆかしい六骨の扇も用いられる。

文・田村民子 / 写真・諸角潤 / 協力・藤浪小道具株式会社