黒骨銀地紅梅

黒骨銀地紅梅

 冬の凍てつく空を想わせる銀地に、紅梅という図案。爽々しさの中にも色香漂うこの扇は、歌舞伎舞踊『廓三番叟』で傾城が用いる舞扇です。
 「三番叟もの」は、能『翁』を源流とする儀式性の強い舞踊。多くは中啓という格の高い扇を用いますが、この『廓三番叟』は、吉原のお座敷が舞台という洒脱さが芯の作品。扇もこのような柔らかみのある舞扇を用いるそうです。

演目:廓三番叟
タイプ:舞扇
memo:三番叟ものには欠かせない小道具の鈴も、『廓三番叟』では常緑のマンリョウを鈴に見立てて用いる。

文・田村民子 / 写真・諸角潤 / 協力・藤浪小道具株式会社