黒骨春秋

朝顔(あさがお)八月

 松羽目物の舞踊『船弁慶』の前半で、源義経との別れをしのんで静御前が舞う際に、手にする扇です。紅葉と桜が両面に分けて描かれていることから「黒骨春秋」と呼ばれています。
 この扇は閉じた状態でも先が少し開いた形になる中啓という扇。公卿や武家の改まった装束の人物が用いるもので、松羽目物の登場人物の多くもこの中啓を使用します。

演目:船弁慶
タイプ:中啓
memo:『船弁慶』で用いる扇は、他に黒骨笹竜胆紋(義経)、白竹金地墨絵芭蕉絵(弁慶)など。

文・田村民子 / 写真・諸角潤 / 協力・藤浪小道具株式会社