白竹銀地に鳴子雀

白竹銀地に鳴子雀

 昔話のワンシーンのような愛らしいこの扇は、松羽目舞踊『太刀盗人』で用いられるものです。うかれ気分で京に出かけた田舎者の万兵衛と、すっぱ(スリ)の九郎兵衛の滑稽なやりとり、そしてユーモラスな連舞が見どころの演目。雀、稲穂、鳴子に、裏面のさつま芋と農村の情景を描いたこの扇を手にするのは、もちろん田舎者の万兵衛です。

演目:太刀盗人
タイプ:舞扇
memo:すっぱの九郎兵衛の扇の図案は、銭ちらし。扇の図案にも頓知がちりばめられている。

文・田村民子 / 写真・諸角潤 / 協力・藤浪小道具株式会社