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海老蔵が語る『石川五右衛門』
2015年1月2日(金)から始まる新橋演舞場 「初春花形歌舞伎」に出演する市川海老蔵が、原作者の樹林伸氏とともに、上演する『石川五右衛門』についての思いを語りました。
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石川五右衛門とは…
歌舞伎で石川五右衛門といえば、『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』で「絶景かな、絶景かな」のせりふとともに南禅寺の楼門で煙管を手にした姿が思い起こされます。「実は、五右衛門の史実はほとんど記述がない。つまり、石川五右衛門とは人々の想像がつくった人物であり、名前です。だから、自由に描くことができる」。歴史上の人物というより、アイコンとしての石川五右衛門、「その自由なところが最高の魅力」と海老蔵は言います。
前回の『石川五右衛門』(平成21年8月新橋演舞場初演)では、天下の大泥棒として秀吉の宝物をすべて奪う五右衛門を描き出しましたが、海老蔵は今回、前作で展開した物語に加え、「海を渡り、スケールアップした五右衛門」をつくり上げようとしています。
キーワードは「絶景かな」
前回に引き続き、原案作成には樹林伸氏を迎えます。「海老蔵さんと初めてご一緒したときに“歌舞伎は自由でなんでもつくれる”と聞き、それは面白い、(自分が手がけている)漫画と同じだと思いました。今回の芝居の構想はそのときからあったのですが、あまりにダイナミックな構想だったので、歌舞伎として受け入れられない人がいるのではと考え、前回のところまでにとどめました」。前作を凝縮してまとめ、その先を描き出して『石川五右衛門』の全貌が明らかになります。
「今回は、“絶景かな”と言う場面を2度、つくろうと思っています。2度目の“絶景かな”は想像を超えるものにしたい」と語った海老蔵。前作の五右衛門を超える五右衛門、前作の楼門での「絶景かな」を超える「絶景かな」とは、果たしてどんな絶景なのか…。「見ている景色が、ドラマによって変わって見える瞬間がある。そういう精神世界を“絶景かな”の言葉と演出に込めたい」と樹林氏。海老蔵も「前作は、すべてを奪った秀吉が実は…という、目からうろこが落ちた男の見た絶景。それを超える絶景をつくるには、ヌルハチ伝説を実現させるしかない」と、五右衛門は海を越えて大陸に渡ります。
正月にふさわしいスケール感
清の太祖ヌルハチの大きさをもって描き出す五右衛門。「海を渡るところは大スペクタクルになると思います。父と子の物語を含め、友情、恋、親子の情愛といった歌舞伎ならではの題材が、樹林流に書き上げられ、五右衛門によって体現される。正月に最適の大きな、面白い、わかりやすい作品になります」と海老蔵は太鼓判を押しました。
樹林氏が「前作は團十郎さんと海老蔵さんのために書きましたが、新しいものは海老蔵さんと息子さん世代が、いつか演じてくれることがあると信じて書きました」と語るのを聞き、「自分が(父、團十郎が演じた)秀吉をやれという命を授かったようで、胸が熱くなりました」と明かした海老蔵。『石川五右衛門』には、さまざまな思いが込められていることをうかがわせました。
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新橋演舞場「初春花形歌舞伎」は2015年1月2日(金)~25日(日)の公演、チケットは11月25日(火)より、チケットWeb松竹、チケットホン松竹にて販売開始です。