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新橋演舞場『GOEMON 石川五右衛門』初日の賑わい

 10月3日(月)、新橋演舞場「十月花形歌舞伎」が開幕し、『GOEMON 石川五右衛門』が東京で初上演されました。

 ついに東京の舞台に、スペイン人の血を引くGOEMONが登場――。徳島で誕生し、大阪で2度の再演を経て、愛之助の演じる石川五右衛門が新橋演舞場を駆け回りました。

 

和と洋が一体になった舞台 

 シンプルな構成舞台を活かし、廻り舞台や照明で、スピーディーに場面が展開していくのは大阪公演と同じ。神父カルデロン(今井翼)の登場から、明智光秀の忠臣、四天王但馬守の娘、石田局(吉弥)との間に生まれた友市が、秀吉(鴈治郎)の切支丹禁止令によって父を、そして母までをも奪われてしまうという物語の発端も、丁寧な芝居でわかりやすく描かれます。

 

 音楽は聖歌もあれば、長唄もあり、琴や鼓の音が聞こえたかと思えば、パーカッションも鳴り響き、さらには刀の妖力で雷鳴までとどろくといった具合ですが、不思議と違和感がなく、和と洋が一体となって物語を盛り立てます。そして忘れてならないのが、フラメンコの情熱的な音楽。

 

胸に秘める熱い思いをフラメンコで表現 

 友市の幻想に登場するフラメンコ舞踊家の佐藤浩希の踊りも圧巻ですが、第二部の冒頭では、イスパニアの酒場で日本に残してきた友市を思うカルデロンが、これぞ“魂の叫び”といいたくなるような熱いフラメンコを披露します。そして、阿国(壱太郎)に芸の話を聞かせながら、魂の踊りとして五右衛門がフラメンコを披露する場面には、カルデロンの幻影も現れ、愛之助、今井、壱太郎が踊り、フラメンコのエネルギーに突き動かされるように三者の運命が変わっていきます。

 

 父母を奪い、女をさらい、天下を取った秀吉こそ大盗人、主君の敵で父母の仇の秀吉を討つために大泥棒になったと啖呵を切る五右衛門は、友市時代の悲しみを忘れることなどできません。そんな小さな頃に出会った竹馬の友が、伊賀の里でともに忍術修業をした霧隠才蔵(今井翼)です。今回、新たに登場する才蔵は、今は五右衛門とは敵味方の間柄で、激しい立廻りも見せますがやがて…。最後の最後まで才蔵から目が離せません。

 

客席をも巻き込んだ立廻りで盛り上がる 

 『GOEMON 石川五右衛門』といえば、やはり立廻りが大きなみどころの一つです。システィーナ・ホールでは壁面のバルコニーを使い、大阪松竹座では2階客席での立廻りがありましたが、新橋演舞場でも五右衛門、阿国、名古屋山三(吉弥)が劇場中を駆け巡っての大暴れ。五右衛門もお客様の声援に後押しされ、捕手をかわしていきます。悔しがる加藤虎之助(種之助)たちも大奮闘で、劇場中が一体となって盛り上がりました。

 

 ほかにも、『鞘当』『楼門』といった歌舞伎でお馴染みの場面に加え、つづら抜けや衣裳のぶっ返り、2度の宙乗りなど、みどころはたっぷり。初日は終演後に拍手が鳴りやまず、「歌舞伎にカーテンコールはないのですが…」と言いつつ、愛之助と今井が再び登場。お客様に感謝の挨拶をすると、今井は「まだまだ勉強不足ではありますけれども、日々、感謝の気持ちをもってしっかりと勤めていきたい」と、意欲を見せました。

 新橋演舞場「十月花形歌舞伎『GOEMON 石川五右衛門』」は、27日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

2016/10/04