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猿翁が『楼門五三桐』で8年ぶりの舞台復帰
7月4日(水)、新橋演舞場「七月大歌舞伎」は初日を迎え、昼の部『ヤマトタケル』の襲名披露口上で開幕。そして、夜の部『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』に、真柴久吉役で三代目猿之助改め二代目市川猿翁が登場しました。
猿翁は平成16(2004)年2月「市川猿之助歌舞伎公演」の巡業最終日の24日、札幌で『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』の大蔵卿を勤めて以来、療養のため舞台を離れていました。6月の襲名披露公演では、昼の部『口上』に出演、25日間、襲名口上を述べましたが、芝居への復帰は今回の『楼門五三桐』が約8年4か月ぶりとなります。
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最初に花道から登場したのは久吉の家臣6人。舞台の浅葱幕が落とされ、南禅寺の山門の中央にどっしり構えるのは、海老蔵が勤める石川五右衛門、そして山門がせり上がり、前セリが上がって現れたのが、巡礼姿で久吉を勤める猿翁です。「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」のセリフがあって、五右衛門の投げた小柄を柄杓で受け止め、「巡礼にご報謝」。ここで、下手に先ほどの家臣、彌十郎、門之助、右近、猿弥、月乃助、弘太郎、上手には左枝利家役の段四郎と、久吉の侍女、笑也、笑三郎、春猿が登場、最後は澤瀉屋一門が揃って猿翁の舞台復帰に馳せ参じる形となりました。
割れんばかりの拍手は定式幕が閉まっても止むことはありません。熱い声援に応えるように幕が開き、舞台中央に猿翁が立ちました。まずは、舞台袖にいた海老蔵を呼び寄せてがっちり握手、そして、後見の黒衣を呼び寄せると、顔を見せたのは中車でした。初めて同じ芝居の舞台に立った親子。最後は、猿翁が劇場中の拍手に感謝するかのように場内を見渡して元気に手を振り、中車が深々と一礼して、初日の幕が閉じました。
市川猿翁のコメント
芝居でも久しぶりに舞台に立つことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。
『楼門五三桐』の真柴久吉は、まだ團子を名乗っていた15歳の時に初めて勤めさせていただいた思い出深い役です。
桜の咲き誇る南禅寺で、五右衛門と久吉が絵面に極まる場面の美しさ、力強さ。今回は場面を追加し、より美しく、華やかにいたしました。海老蔵さんとは初めての共演ですので、とても楽しみです。
二代目猿翁になっても、歌舞伎をもっともっと面白くするため、今後も新作などの創作をはじめ、創造者としての"挑戦"を続けてまいります。
今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を何卒お願い申し上げます。
※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、正しくは"わかんむり"です。