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猿之助が語るシネマ歌舞伎『ヤマトタケル』

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 9月28日(土)より公開される シネマ歌舞伎『ヤマトタケル』で、ヤマトタケルを勤める市川猿之助が、公開を前に作品への思いなどを語りました。

襲名の記録としての『ヤマトタケル』
 スーパー歌舞伎としては初めての作品となる『ヤマトタケル』。「襲名のときの僕をご覧いただく。そのときの情熱、襲名の高揚感といった、そのとき限りのものを記録としてとどめていただいた」のが今回のシネマ歌舞伎だと、猿之助は最初に説明しました。

 しかし、それは単なる記録ではありません。13台のカメラ、50本のマイクで立体的に劇空間を再現しようと試みた本作は、松竹の山田洋次監督のスタッフらが、"松竹映画"のクオリティーを求めて丁寧につくり上げました。「生の舞台のよさは生でないと伝わりにくい。そこをカット割りで補っています。スーパー歌舞伎の場合、カット割りの多いことが作品の邪魔にはならない芝居ですし」と、猿之助も言います。

 「画角の美しさ、(シーンを)切り取ったときの美しさ」、それが猿之助の考えるシネマ歌舞伎の魅力。ですから、シネマ歌舞伎を劇場での歌舞伎観劇の入り口とはとらえていません。「『ヤマトタケル』を観た! 面白かった!...それでもいいと思います」と言い切ります。一つの作品としての魅力が伝わることが、猿之助にとって大切なようです。

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猿之助としてのこの1年
 襲名披露で初めて勤めたヤマトタケル。「子どもの頃、思い描いていたのと一緒でした。全部出ていてしんどいのも思っていたとおり(笑)」。しかし、猿翁の思いが込められた「天翔ける心」のせりふは「自分とは重ならないので、役のヤマトタケルとして言っています。私が演じていて気持ちいいのは(第一幕)『明石の浜』の場。梅原猛先生の筆の走りで、せりふとして言っていて気持ちがいいし、心地よく、リズムが整っている感じですね」。作品をより自分のものとして表現できるよう、「もっとほかの人にもやってもらいたい」、とも話しました。

 「"あっという間"の"あ"を言う暇もないくらい」、無我夢中で駆け抜けてきた襲名披露興行。覚悟はしていたのでなんとかここまで乗り切ってきたそうで、「今は、何をしないか、を選択していく。そぎ落とすことが大事なのでは」と考えています。そのなかで、「『ヤマトタケル』はぜひ海外で上演したい作品」と話しました。映像、舞台、いずれも実現にはさまざまな条件がありますが、その思いは膨らみます。

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 「お客様のために芝居をしているので、13台のカメラもまったく気にならなかった」と言う猿之助。舞台の熱がそのまま伝わってくる一作です。猿之助襲名披露のアルバムとして、ぜひお近くの映画館で、そのページを開いて観てください。28日(土)より全国40館で封切です。


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2013/09/20