3月平成中村座で襲名披露の勘九郎が意気込みを披露しました

3月平成中村座で襲名披露の勘九郎が意気込みを披露しました

写真左:『一條大蔵譚』一條大蔵長成 写真右:『曽我綉侠御所染』御所五郎蔵

 
 3月平成中村座では「中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露 平成中村座 三月大歌舞伎」が開催されます。昼の部では『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』の一條大蔵長成、夜の部では『口上(こうじょう)』と『曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』の御所五郎蔵を勤める中村勘九郎が公演への思いを語りました。

中村勘九郎
 2月の新橋演舞場に続いて、3月には平成中村座で襲名披露を行わせていただきます。父(十八代目勘三郎)が19歳のときに唐十郎さんのテント芝居を観て「いつかこういうところでやりたい!」という想いが詰まった芝居小屋、平成中村座。そして、父が「勘九郎」を名乗っていたときに創りあげたその平成中村座で、この度「勘九郎」を襲名させていただけるのですから本当に嬉しいです。平成中村座に「勘九郎」が帰ってきます。
 昼の部では『一條大蔵譚』の一條大蔵長成、夜の部では『曽我綉侠御所染』の御所五郎蔵を勤めさせていただきます。いまでは古典となっているこれらの作品を、創られた時代の雰囲気を再現している平成中村座で勤めさせていただけることは、作品の良さをより実感することができるので最高の気持ちです。

 『一條大蔵譚』一條大蔵長成を勤めるのは2度目になります。2001年(平成13年)新春浅草歌舞伎に初役で勤めましたが、そのときは手も足も出ませんでした。南座顔見世の際に父の稽古を受けていたのですが、特に「檜垣」の場ではなかなかうまく笑えず・・・。父からのダメ出しは「街にあるもの何を見ても笑えるようにしろ!」というものでしたので、言われるままに夜の先斗町に出て色々な物を見て笑おうとするのですが変な人には見られるし、悔しくて涙しか出てこなかった思い出があります。
 『曽我綉侠御所染』御所五郎蔵は初役ですが、いつか勤めさせていただきたいと思っていたお役でした。このお芝居自体、子分達を引き連れての土右衛門との出会いは吉原仲之町が舞台ですので、平成中村座のある場所のすぐ近く。浅草で演る喜び、平成中村座で演る喜びでいっぱいです。この度の襲名披露には、まさにピッタリな狂言ではないでしょうか。

 色々な方に「襲名おめでとう」と声を掛けていただき、とても温かな気持ちになります。襲名というものは自分ひとりだけのことではないのだと実感します。襲名はお祭りのようなところがありますので、皆様にも一緒に楽しんでいただいて温かな気持ちになっていただければと思います。昨年の又五郎さんと歌昇さんに続き、今年は私の襲名ののちも亀治郎さんや香川照之さんも襲名披露をなさいます。私達が襲名披露することで温かな気持ち溢れた、いい雰囲気の一年になればいいなと願っています。

2012/02/09