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仁左衛門が語る、歌舞伎座「三月大歌舞伎」「四月大歌舞伎」

仁左衛門が語る、歌舞伎座「三月大歌舞伎」「四月大歌舞伎」

 

 2025年3月4日(火)から上演中の歌舞伎座「三月大歌舞伎」、4月3日(木)から始まる「四月大歌舞伎」に出演する片岡仁左衛門が、公演への思いを語りました。

 「三月大歌舞伎」では、松竹創業130周年を記念し、三大名作の一つである『仮名手本忠臣蔵』を通し狂言として上演。仁左衛門は、尾上松緑、片岡愛之助とともに、A・Bプログラムの場面ごとに大星由良之助を勤めます。続いての「四月大歌舞伎」では、夜の部『彦山権現誓助剱』で、偶数日奇数日に分かれ、松本幸四郎とダブルキャストで毛谷村六助を勤めます。

 

仁左衛門が語る、歌舞伎座「三月大歌舞伎」「四月大歌舞伎」

 『仮名手本忠臣蔵』「四段目」片岡仁左衛門 (撮影:福田尚武)

群を抜いた忠義心

 「取材会の写真撮影でも、“忠臣蔵”のときは真面目な顔になる」という何気ない言葉から、本作がもつ特別さが伝わります。特に好きな段を聞かれ、「やはり四段目、それから五、六段目…七段目…。九段目も好きですね」と、次々と挙げながら、「発端からの上演は話がわかりやすく、通しで観る価値があります。特に四段目や討入りなどは、通しでなければ上演の機会も少ないわけですから、やはり特別な思いがあります。悔いの残らないように勤めたいです」と、表情を引き締めます。

 

 大星由良之助を演じるにあたり、「大勢を束ねるような、それほど大きな人物になれるか、が一番大事です」と話す仁左衛門。「群を抜いた忠義心をもつ由良之助は、(四段目の)塩冶判官と無言の間で心を通わせ合えるくらい、判官が信頼している人物です。『仮名手本忠臣蔵』の由良之助としての風格、気持ち。それを匂わせるものが出せれば」と、役の心構えに言及しました。

 

 今回、交互出演で由良之助を勤める松緑と愛之助は、これが初役での挑戦となります。「松緑くんとは、松緑くんのお家ゆかりのやり方で演じていただいてはどうかとも話していましたが、本人からの希望もあって」と、二人とも松嶋屋の型で上演すると明かし、「心理と動きが一致しているかなどのアドバイスはするかもしれませんが、手取り足取りはしません。愛之助には父(十三世仁左衛門)が守っていたことを伝えたいですし、松緑くんの新しい由良之助も楽しみです」と、期待を寄せます。

 

仁左衛門が語る、歌舞伎座「三月大歌舞伎」「四月大歌舞伎」

 『彦山権現誓助剱』片岡仁左衛門(撮影:田口真佐美)

人物に惚れた

 「四月大歌舞伎」『彦山権現誓助剱』について、これまで演じているなかで毛谷村六助という人物が好きになった、と話します。「人物に惚れたことだけでなく、芝居運び、芝居構成が見事。最後の追い込みで、どんどん盛り上がっていく、義太夫狂言の素晴らしさがあると思います」と、自身が作品に感じている魅力を力説。幸四郎とのダブルキャストについては、「幸四郎くんのお家の演じ方もあるでしょうし、(お客様にも)いろいろなやり方を観ていただきたいですね」と、笑顔を見せました。

 

 さらに六助の人柄について、「純朴でお人好しで、カーっとなるところもある。親を大事にしていて、後室(お幸)に対しても自分の親を連想して、親孝行するように大事にする。そういった、山奥で育った汚れを知らない人物が好きなのです」と、深く掘り下げて語ります。「田舎の人ではありますが、ちょっと異色で垢抜けして見える方がいい。でも心は純粋で、社会擦れしていない。そういうところを大事にしたいと思います」と、役への思いを熱弁しました。

 歌舞伎座「三月大歌舞伎」は27日(木)まで、歌舞伎座「四月大歌舞伎」は4月3日(木)から25日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で、「三月大歌舞伎」は販売中、「四月大歌舞伎」は3月14日(金)から発売予定です。

2025/03/11