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「ギャラリーレクチャー」に松也が登場
10月16日(金)、歌舞伎座ギャラリー「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話(かぶきやわ)」に尾上松也が登場し、満席のお客様を前にトークイベントが行われました。
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「歌舞伎夜話」と題しての、一夜限りのスペシャルイベント。幸運にもチケットを手にされた約100名のお客様が集いました。開演が待ちきれない様子の皆さんに、今回特別にうれしいサプライズ! トークに続き、ステージ上の松也の写真が撮れる「撮影タイム」と、松也本人による「お見送り」があることが発表され、会場にどよめきが走ります。期待が高まる中、満を持して松也が登場しました。

話は松也の初舞台から。「子役は皆さんに可愛がっていただけるので、今では考えられないようなことをしていました。芝居は好きでも、子役の役は好きではなかった。もっと格好いい役をやりたかったのと、子ども扱いされるのが嫌でしたね」と振り返りながら、『重の井子別れ』の三吉、『魚屋宗五郎』の丁稚、『伽羅先代萩』の千松といったエピソードを次々披露しました。
歌舞伎を離れた中学時代を経て、大人の役を得た高校時代へ。「歌舞伎の難しさ、奥深さに触れ、歌舞伎にのめり込みました。同時に、なかなかできない自分が悔しかった」。初めは嫌いだったという女方も楽しくなったと言います。「洋服では動きも違うので、今の女性を女方の演技の参考にすることはありません。それより、先輩方から学ぶことが重要だと思います」。
ミュージカルや現代劇での活躍も多いだけに「歌舞伎はイメージを共有できるので、すぐにセッションができるし、新しくつくり出す力もある」と、客観的にも歌舞伎を見る機会も多い松也。「歌舞伎以外では演出家のイメージを表現するのが仕事だと思っているので、歌舞伎の土台を忘れるようにして稽古に入ります。でも、歌舞伎の土台が財産だと感じることも多いですね」と結びました。
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トークの後は、質問コーナー。参加者から寄せられた質問カードに応えます。そして、皆さんお待ちかねの写真撮影。デジカメ、スマホ、携帯と、一斉に向けられたレンズの数に、松也は「こんな光景は製作発表でもなかなかないですね」とつぶやきつつ、余裕の笑顔。撮影の成果を、さっそく待ち受けに設定している人もいらっしゃいました。
楽しいひとときの締めくくりは、松也によるお見送りです。お客様それぞれが弾むような足取りで松也の前に立ち、満面の笑顔で会場を後にされるのが印象的でした。
「いろんなところに歌舞伎のタネをまき、歌舞伎に恩返しができればいい」と語ったのは松也でしたが、バラエティーに富んだトークで、歌舞伎の世界を垣間見ていただく趣向となった、初めてのギャラリーレクチャー。また一つ、歌舞伎のタネをまいた一夜になりました。