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藤十郎、翫雀、壱太郎『曽根崎心中』初日を終えて

藤十郎、翫雀、壱太郎『曽根崎心中』初日を終えて

 3月5日(金)、京都・南座「三月花形歌舞伎」が初日を迎え、昼の部『曽根崎心中』に出演の、徳兵衛役の中村翫雀、お初役の中村壱太郎、監修の坂田藤十郎が『曽根崎心中』終演後に初日を終えた想いを語りました。

中村翫雀
 初日を迎えますと気持ちが入って来るといいますか、舞台稽古とは違い、幕が開き、お客様の前で演じますと、込み上げてくるものがありますね。父(藤十郎)とやらせていただいた時とは違いますし、親子とかは関係なく、相手が変わればまた違います。今回は壱太郎がお初と同じ年齢の19歳でやらせていただいておりますが、実年齢で演じるのも今月の公演だけだなと(特別なものを)感じております。

中村壱太郎
 役柄のお初と同じ19歳という年齢でやりっきたんだなという気持ちです。稽古とは違い、お客様が入るとまた気持ちが違うなあと感じております。

―終始、感慨深い様子の壱太郎丈でした。―

坂田藤十郎
 一緒に作りあげたものを今日見まして、お初を50数年やっていますが、自分とくらべることなく、何も感じずに『曽根崎心中』という作品を見れました。壱太郎は孫に違いませんが、後輩として若い方々が、歌舞伎を盛り上げていくという一生懸命な姿を見て嬉しく思います。『曽根崎心中』は作品としてよくできていますし、昨年演じさせていただきましたが、本当に1300回以上もやったとは思えません。これは心中物でございますし、いつまでも愛し合うという愛の深さ、お初を通しての愛情の深さ、そして愛の喜びを伝えなければと思っております。

2010/03/09