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鴈治郎、壱太郎が大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」開催記念トークイベントに登場
▲ 左より、李相日監督、横山英幸大阪市長、吉村洋文大阪府知事、中村鴈治郎、中村壱太郎
2025年12月17日(水)、大阪松竹座で行われた、大阪国際文化芸術プロジェクト「壽 初春歌舞伎特別公演」開催記念トークイベントに中村鴈治郎、中村壱太郎が登場しました。
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来年1月7日(水)から始まる大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」。夜の部で上演される『京鹿子娘道成寺』は、映画「国宝」の劇中に登場する『二人道成寺』の元となった演目です。このたび、鴈治郎、壱太郎が「国宝」の李相日監督と鼎談を行い、作品への思いや、1月に上演される『京鹿子娘道成寺』について語りました。
イベントの冒頭には、公演の主催である吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長も登場。吉村知事は、「歌舞伎の奥深さを知ることができる素晴らしい映画でした。これを機に多くの皆様に歌舞伎に触れていただけたら。来年の1月公演では、歌舞伎の魅力を大阪府としても発信していきたいと思います」と挨拶すると、横山市長も、「映画のなかで、歌舞伎に打ち込む”狂気”とも言える感情が描かれているところにとても感動しました。大阪には元々、深い歴史や文化がありました。歌舞伎をはじめ上方文化の振興に全力で取り組んでいきたい」と、宣言しました。
『京鹿子娘道成寺』という演目
映画のなかでも印象的なシーンを生み出した『道成寺』。鴈治郎は、平成7(1995)年の五代目中村翫雀・三代目中村扇雀襲名披露の際、扇雀とともに歌舞伎座で『二人道成寺』の白拍子花子を勤めたことを回顧します。「初めて鐘に登り、このような景色なのかと感じました。衣裳も重く体力的にもとても大変ですが、幕切れの気持ち良さを覚えています」。壱太郎は、「赤の衣裳から浅葱の衣裳への引き抜きなど、満開の桜のなか華やかな展開を見せます。私も1月は、7種類以上の衣裳を着て踊り込みます。女方の舞踊のなかでも大曲です」と、説明します。
李監督は「『道成寺』を、いつも映画の物語とセットで考えていました。主人公二人の絆の象徴となる存在(の演目)。二人で勤めるからこそ、映画のなかの『道成寺』が存在する意義があり、人生の絆の紆余曲折をこの演目で描けると思いました」と述べ、映画の重要シーンの題材に選んだ背景を明かしました。
お正月公演に向けて
大阪松竹座の舞台には、この日のイベントのために『京鹿子娘道成寺』の舞台装置と、実際に使われる衣裳が飾られました。映画のなかでも強い印象を残し、演目の象徴である釣鐘が降ろされる演出では、客席から感嘆の声も。舞台と映画が交錯するような特別な空間が生まれました。
壱太郎が、「1月公演で披露する『京鹿子娘道成寺』では、花子が鐘の中に入り蛇体に変わります。そこに押戻しとして、大館左馬五郎が退治にやってきます」と構成を話すと、鴈治郎も「映画では(花子が)鐘の上に登って終わりましたが、その後の蛇体を退治する役として出てくるスーパーヒーローです。私がそのお役です(笑)」とユーモアを交えて説明しました。
李監督は最後に、「映画をご覧になった世界中の方が“歌舞伎はこんなにも美しいのか”とおっしゃいます。若い世代の方の歌舞伎への興味にも繋がっていると思います。1月に壱太郎さんがどのような花子を見せてくださるか、鴈治郎さんがどのような姿で立ち現れるのか、皆様も楽しみにしていただけたらと思います」と期待を込めると、壱太郎は「上方歌舞伎の人間として、大阪で勤められることをうれしく思っております。大阪松竹座は5月で閉館してしまいますが、上方歌舞伎がこれからも大阪で未来へと繋がっていくよう全力で勤めます。楽しみに劇場へお越しください」と、力強く呼びかけました。
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大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」は、2026年1月7日(水)から25日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。
