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鷹之資、玉太郎、梅丸、「SUGATA」2年目に向けて
3月25日(金)から3日間、KAAT神奈川芸術劇場で行われる若手舞踊公演「SUGATA(スガタ)」に出演する中村鷹之資、中村玉太郎、中村梅丸が、作・演出・振付・出演の藤間勘十郎とともに、公演に向けての思いを語りました。
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稽古に励む若手の今の“姿”を見ていただこうと、昨年初めて開催された舞踊公演「SUGATA」。2年目を迎える今回は、新作舞踊『新説西遊記 ~猪八戒と沙悟浄~』を上演します。
「猪八戒と沙悟浄に焦点を当て、ちょっと大人の孫悟空が出てきます。強くない妖怪三人がとても強い妖怪に立ち向かうところを主軸にすえ、7回転生したという三蔵法師の恋愛を脇筋にした『西遊記』として構成しました」。勘十郎は、役のキャラクターが、実は、演じる三人それぞれの“素”の部分に合っていると言います。「三人のキャラクターが浮き彫りになるよう、踊りで表現していきます」。
キャラクターを表現する踊りを
猪八戒は鷹之資。昨年は『土蜘蛛』『山姥』『吉野山』などの要素が入った新作で、動きの激しい立廻りや踊りを見せました。「すごく勉強になりました。硬い、強い役でしたが、今年はちょっと抜けたというか、面白みのあるお役。この写真のとおりです」と、チラシにあしらわれたコミカルな猪八戒を示しました。「後半は踊りまくるとうかがっています。『棒しばり』みたいな感じで沙悟浄と、お供えのお酒を飲んで連れ舞のような、狂言のような、面白いシーンになっていきます」。
昨年は『紅葉狩』の山神の踊りを見せた玉太郎が沙悟浄。チラシの写真は河童をイメージしたポーズで、衣裳も現代的なメイクも、緑色が効いています。「妖怪なので、立役、女方というより、もっと“別のなにか”の踊りです」。理詰めで攻める沙悟浄で、せりふも多く、「まだ、しゃべり方が型になっていないので、せりふを意識して、踊りはその役らしく踊ることを目標にしています。完璧に(これでいいと)すっきりすることは一生ないでしょうが、前回よりもいいものにしたいです」。
その二人に加わるのが、孫悟空の梅丸です。「二人がピンチのところへ“おいしく”登場するのに、最終的には皆がダメダメで…。僕自身も、ピンチになると“助けてください”、と周りにお願いすることが多いので、見抜かれたのかなと」。見抜かれたキャラクターを見せるだけでなく、腕の見せどころもあります。「美女に化けてやってきて、美女から猿に変貌する。化粧や衣裳でなく、梅丸さんの腕で見せます」とは作者の弁。「お客様との距離も近いので、気持ちでしっかり伝えることが課題です」と、梅丸は意気込みました。
KAATの空間を活かして客席と一体に
会場となるKAATの大スタジオは黒塗りのシンプルな空間です。「何もない空間に、ガチガチの古典の演出法をとり入れます。昔の芝居小屋にあった“空井戸”みたいなものから出入りしてみたり、両花道をつくったり、客席通路を使ったり」、知恵を絞っているところと、勘十郎は楽しそうに語りました。同時に、「この公演を通し、素踊りでどこまでできるのか、可能性を模索している」とも。昨年に続く2回目の公演、さらに上を目指して面白いものにと、試行錯誤が続きます。
子役から大人の役へ移行する十代は、勘十郎いわく「耐える」時期。力不足を知り、稽古を重ねて、ここ一番で花を開かせてほしいと言います。「今でなければ見られないことをお見せする」、この公演が、勉強会ではなく、お客様にご覧いただく公演として行われることの意義を、勘十郎の言葉から出演者三人は深く感じとっているようでした。