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海老蔵が語る、歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部『鎌髭』『景清』

海老蔵が語る、歌舞伎座夜の部『鎌髭』『景清』

『鎌髭』(平成26年1月新橋演舞場)市川海老蔵

海老蔵が語る、歌舞伎座夜の部『鎌髭』『景清』

 『景清』(平成26年1月新橋演舞場)市川海老蔵

 

 7月2日(土)に初日を迎える歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部の、歌舞伎十八番の内『鎌髭』『景清』について、出演の市川海老蔵が語りました。 

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部は『荒川の佐吉』に続き、景清を軸に歌舞伎十八番から4つの話をとり上げて通し狂言とした『壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)』から、『鎌髭』『景清』の2つを続けて上演、海老蔵が悪七兵衛景清を演じます。

 

海老蔵が語る、歌舞伎座夜の部『鎌髭』『景清』

 『景清』(平成26年1月新橋演舞場)市川海老蔵

歌舞伎十八番をさらにブラッシュアップ 

 一昨年の正月に新橋演舞場で通し上演した際も、「いずれは単独で上演されるように」と話していた海老蔵ですが、今回の上演にあたり、「『景清』はさらに歌舞伎風にしたうえで牢破りを見せたいです。どちらも一つの狂言として磨き上げる作業をしていきます」ときっぱり。もちろん、景清が持ち上げた巨大な海老など、変えずに活かすところもあります。

 

海老蔵が語る、歌舞伎座夜の部『鎌髭』『景清』

 『壽三升景清』「景清」で演奏する上妻宏光

 初演では、津軽三味線プレイヤーの上妻宏光氏が曲を書き下ろし、実際に津軽三味線の演奏を聞かせたことも、新たな演出として話題を呼びました。歌舞伎十八番の演出として『助六』に河東節をとり入れたように、『景清』では津軽三味線が演出として定着することを見据え、「今回も、出演がかなうかぎり、上妻さんが演奏する予定です」と、海老蔵は明かしました。

 

おおらかな表現が魅力の『鎌髭』

 六部(修行者)の姿に青黛(せいたい)の隈取で登場する『鎌髭』の景清では、「死なない者が存在する面白さを追求していきたい」と海老蔵は言います。四世團十郎が重きを置いたという景清には、勧善懲悪の歌舞伎十八番のなかでも、「影がある」と語り、「歌舞伎十八番は、童の心で純真無垢の心を表現すると言われておりますが、『鎌髭』はそこにプラスアルファがあります」と続けました。

 

 髭をあたるのにかこつけて、鎌で首をかき切ろうとする敵に対し景清は、「負けた側が勝った側へ乗り込み、私は死なないぞ、どうだ、殺してみろと、遊び心を見せる。しかし、その心底には負けた者の悔しさがあり、それを露骨に出すのではなく、おおらかに表すのが『鎌髭』の魅力です」。上演されていなかった歌舞伎十八番の復活を掲げ、次々と復活上演を果たした海老蔵は、すでに次の段階として、「何度もできるように常に努力をする」ところへ来ています。その結果としての「七月大歌舞伎」の『鎌髭』であり、『景清』です。

 夜の部は幕開きの真山青果作『荒川の佐吉』で、猿之助が演じる佐吉にとっては憎き親分の仇、成川郷右衛門を勤めます。昼の部の『柳影澤蛍火』でも猿之助が、海老蔵の吉保とは犬猿の仲の護持院隆光を勤め、昼夜で猿之助と敵対する役を演じるのも面白いところです。「『鎌髭』『景清』は見てわかりやすいですし、7月は特に歌舞伎を初めて観るという人におすすめしたいですね」。

 

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」は、7月2日(土)から26日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

2016/06/22