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「第二回 研の會」を振り返って
8月6日(土)・7日(日)、国立劇場小劇場で、尾上右近の自主公演 「第二回 研の會」が開かれました。
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暑いさなかの開催となった初日、場内は期待を込めて詰めかけた満員のお客様で、さらに熱を帯びていました。2回目の自主公演は芝居に挑戦したいと、右近が選んだのは『仮名手本忠臣蔵』「五段目・六段目」。大きな劇場で上演されることが多い演目ですが、小劇場では芝居の緊密なドラマが客席に伝わりやすく、いい緊張感に包まれました。
笠を上げての登場から、二つ玉の打ち方等々、いくつかのやり方が受継がれている勘平役を、菊五郎から教えを受けて音羽屋のやり方で勤めた右近。定九郎と不破を勤めた染五郎をはじめとする先輩や同輩の好演を得て、初めての大役、勘平に果敢な挑戦を見せました。
続いては、松羽目物の大曲『船弁慶』。「ずっとやりたいと思っていた」という演目ですが、昨年の『春興鏡獅子』と同じく、前シテ、後ジテの踊り分けの難しさもあり、こちらも大きな挑戦となりました。
静御前の壺折の衣裳で現れた右近は、指の先からつま先まで神経を行き届かせ、丁寧に一つひとつの所作を見せます。後ジテでは、弁慶との丁々発止のやりとりに気迫を感じさせ、最後は花道が足りないと思わせるほど、勢いのある引込みで客席を沸かせました。
幕が降り、温かいというより、力強い拍手を浴びて再び登場した右近は、息も整える間も惜しむように、お客様への感謝を述べ、初日を終えた安堵の気持ちとともに、今後に向けてのさらなる精進を誓いました。
2016/08/22