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染五郎、團子がシネマ歌舞伎『歌舞伎座捕物帖』父の日舞台挨拶に登場
6月17日(日)、東京 東劇で、新作シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』「父の日舞台挨拶」に、市川染五郎、市川團子が登場しました。
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上映後の舞台挨拶ということで、『歌舞伎座捕物帖』の事件もみごと解決して、梵太郎、政之助から染五郎、團子となって東劇に現れ、大きな拍手を浴びた二人。チケットも早々に完売し、満員の客席からの視線が、一気に二人に集まりました。
成長盛りの染五郎、團子の『東海道中膝栗毛』への思い
「役名に本名が入っていたりして(本名の齋からとった役名が伊月梵太郎)、自分のために書かれた、自分しかできない役。これからもやっていきたいと思っています」と、力強く語った染五郎。團子も、「1作目、2作目と、いろんな方と共演させていただき、とても楽しく成長させていただいたイメージがあります。人生のなかでかけがえのない作品です」と続け、二人にとって『東海道中膝栗毛』がとても大切なものであることが伝わってきました。
このシネマ歌舞伎『歌舞伎座捕物帖』に続き、今年8月歌舞伎座の『東海道中膝栗毛』にも、3たび、梵太郎と政之助としての出演が発表されています。しかも幸四郎、猿之助の弥次郎兵衛、喜多八と四人で宙乗りを見せます。『雙生隅田川』で三人の宙乗りはありますが、四人宙乗りは長い歌舞伎座の歴史でも初めてです。
「去年、猿之助さんと父が宙乗りしているところを見て、二人で宙乗り、いつかしたいねと話していたので、(四人宙乗りすると聞いて)すごくうれしかったです」と染五郎はにっこり。「初めての宙乗りで、史上初の宙乗りをさせていただく。宙乗りは昔から憧れのものだったので、それをこんなに早い年でやらせていただき、ありがとうございます」と、團子も喜びをあふれさせました。
二人の父は変わり者?
この日は父の日。染五郎は父、幸四郎についてひと言、「変な人」。変なところは数えきれないと言いつつ、「歌舞伎ではとにかく宙乗りが好きなんだなと伝わってきましたが、そこは変じゃありません。自分も宙乗りはしたいので」。團子は中車のことを「昆虫に浸食されている人」で、家のあちこちに昆虫の本ばかりあって、「逆にお父さんのことが思い浮かばない」というほど。しかし、芝居を見ては、「けっこう遅くに(歌舞伎の世界へ)入ったのに、すごいなと」、尊敬の念を見せました。
「とにかく、父は挑戦している。挑戦という言葉がすごく似合う役者。高麗屋は代々挑戦をしている家で、それを受け継いで、すごいなと思います」と、染五郎が率直な思いを述べ、團子もスケートとのコラボレーションなどにふれ、「本当にいろいろなことに挑戦してすごい」と賛同しました。そして、楽屋では幸四郎のいたずらの被害にあうこともあるようで、「仲よくさせていただいて、ありがとうございます!」と、舞台の裏でもいい間柄であることをかいま見せました。
香川照之としての出演映画『ゆれる』を見た團子は、「演技は本当にすごいなと。感情をあらわにして演技ができているところがすごい」と、昆虫博士とはまったく違った父の一面に感服の様子。染五郎も、「祖父は気持ちで芝居をやるものだと言っていて、中車さんは役の気持ちがすごく見える芝居だなといつも思って見ています」と、やはり中車には尊敬のまなざしを向けている様子でした。
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二人の率直な気持ちを、父親二人が直接聞くことはかないませんでしたが、二人の敬愛する弥次さん、喜多さんの活躍はスクリーンでたっぷりご覧になれます。新作シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』は、ぜひお近くの上映館でぜひご覧ください。